【基材論】

基材とは

原液を肌に直接塗布することができない精油を希釈したり、利用に適した形にしたりするために用いる材料のこと。油性基材、水性基材、クレイ、ミツロウなど、生活の中で使用するさまざまなものが基材として用いられる。基材の持つ特性や作用を知り、適正な選択をすることで、効果的なアロマテラピーが行える。

 

1.植物性油性基材

◆キャリアオイル

脂溶性の性質を持つ精油を経皮吸収させる目的で、希釈に使用する植物油のこと。キャリアオイルによって、精油は真皮層にある毛細血管まで運ばれる。手作り化粧品などで、植物油を使用する場合には、特にベースオイルと呼ぶ。

①植物油の分類

 

◆油脂

3分子の脂肪酸が、1分子のグリセリンとエステル結合したトリグリセリドを主成分とし、他の微量成分を含む物質のこと。エステル結合とは有機酸または無機酸とアルコールとが脱水反応により結合することをいう。脂肪酸の性質の違いや、結びつく脂肪酸の組み合わせ、微量成分(遊離脂肪酸、炭化水素、ビタミン類、色素など)が、油脂の性質を特徴づける。一般に水に不溶性であり、不揮発性である。植物性油脂と動物性油脂がある。

◇植物油

植物の種子や果実から抽出される油脂のこと。低温圧搾(コールドプレス)で抽出されると、熱による変性が少ない。不飽和脂肪酸が多く、一般に常温(目安15℃)で液体である。植物油は、脂溶性の精油を安全に希釈できること、また、肌への浸透性もよく植物油が持つ作用も期待できることから、アロマテラピーの代表的な基材として使用される。

◇植物脂

一般に常温(15℃が日安)で固形の植物油のこと。植物油と比較すると飽和脂肪酸を高度に含有し、酸化安定性が高い(酸化しにくいという意味)。ココナッツ油、カカオ脂、シア脂などがある。多くは体温程度で溶解するため、局所的に直接肌に塗布したり、植物油と混ぜて使用したりすることが多い。

◆ロウ(=ワックス)

高級脂肪酸と高級アルコールがエステル結合した物質のこと。油脂とは異なるものである。アロマテラピーの基材として用いられるロウには、ホホバ油(植物性ワックス類)、ミツロウ動物性ワックス)などがある。脂溶性の性質を持つ。

◆飽和炭化水素

炭素と水素で構成され、分子構造中に二重結合を含まない化合物のこと。オリーブ油などから得られる植物性スクワランや、鮫からとれるスクワラン、石油から精製されるワセリンやパラフィンなどが含まれる。油脂とは異なるものである。

※植物油の組成 【不飽和脂肪酸資料参照】

②脂肪酸

油脂の主成分。鎖状に並んだ炭素骨格を持ち、末尾にーCOOH(カルボキシル基)が結合している構造を持つ。二重結合の有無により、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別される。炭素数の多いものを高級脂肪酸、炭素数の少ないものを低級脂肪酸という。

◆飽和脂肪酸

分子構造中の炭素が水素で飽和されており、炭素間に二重結合を持たない脂肪酸のこと。飽和脂肪酸を多く含む油脂は酸化安定性が高く(酸化しにくい)、常温で固体であることが多い。ステアリン酸、パルミチン酸などがある。

■ラウリン酸

炭素数12、二重結合を持たない飽和脂肪酸。酸化安定性が高く、これを多く含有する油脂は保存性に優れている。ココナッツ油(ヤシ油)などに多い。

■パルミチン酸

炭素数16、二重結合を持たない飽和脂肪酸。酸化安定性が高く、生物界に最も多くみられる飽和脂肪酸の一つ。多くの動物性油脂、植物性油脂に含まれている。

◆不飽和脂肪酸

分子構造中の炭素間に二重結合を持つ脂肪酸のこと。二重結合の数によって。単価や多価の脂肪酸に分類される。不飽和脂肪酸を多く含む油脂は常温で液体であることが多く、分子構造中に二重結合の数が多いほど酸化安定性は低い(酸化しやすい)。オレイン酸、パルミトレイン酸や、リノール酸、リノレン酸などがある。

◇単価不飽和脂肪酸(=一価不飽和脂肪酸)

不飽和脂肪酸のうち、炭素間に二重結合を1個持つ脂肪酸のこと。代表的なものにオレイン酸がある。熱安定性が高く、加熱調理にも向く。

■オレイン酸

炭素数18、二重結合を1個持つ単価不飽和脂肪酸。動物性油脂、及び植物性油脂に多く含まれて、酸化安定性は比較的高い。オリーブ油やスイートアーモンド油、マカデミアナッツ油、アボカド油などに多い。

■パルミトレイン酸

炭素数16、二重結合を1個持つ単価不飽和脂肪酸。特に若い人の皮膚に多く含まれ、皮膚の老化と関係の深い脂肪酸である。マカデミアナッツ油の特徴成分の一つである。

◇多価不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸のうち、炭素間に二重結合を2個以上持つ脂肪酸のこと。二重結合の数によって、二価不飽和脂肪酸、三価不飽和脂肪酸などの脂肪酸に分けられる。二価不飽和脂肪酸の代表的なものにリノール酸、三価不飽和脂肪酸の代表的なものにリノレン酸があり、二重結合の多いものほど酸化安定性が低い(酸化しやすい)。

■リノール酸

炭素数18、二重結合を2個持つ多価不飽和脂肪酸で、植物性油脂に多く含まれる。エモリエント剤として化粧品に用いられる他、色素沈着淡色効果や皮膚のターンオーバー促進作用がある。グレープシード油、小麦胚芽油などに多い。

■リノレン酸

炭素数18、二重結合を3個持つ多価不飽和脂肪酸で、植物性油脂に多く含まれる。ヒトの必須脂肪酸の一つ。エモリエント剤として化粧品に用いられる他、色素沈着淡色効果や皮膚のターンオーバー促進作用がある。二重結合の位置の違いでα-リノレン酸と、γ-リノレン酸に分けられる。 γ-リノレン酸は月見草油に多い。

・トコフェロール(=ビタミンE)

天然の抗酸化物質で、小麦胚芽油はトコフェロールを多く含む。

・セサモール

天然の抗酸化物質であり、植物油ではゴマ油に多く含まれる。未加熱のゴマ油には抗酸化物質であるセサモリンが多く含有され、加熱を受けるとより強い抗酸化力を持つセサモールが生成される。

・プロスタグランディンE1

γ-リノレン酸が体内で変化して出来る組織ホルモンの名称。免疫の調整、血栓予防、女性ホルモンの調整、ヒスタミンの抑制、などの作用がある。

2.植物油性油性基材12種類

◆アボカド油

科名:クスノキ科/分類:植物油/抽出部位:果肉/主要脂肪酸:オレイン酸

【特性】日本名は「ワニナシ」という。未精製のものは濃い緑色をしている。また、ビタミンAなどの各種ビタミンやミネラルを含み、美容効果が高い。老化肌や乾燥肌のケアによく用いられる。

◆オリーブ油

科名:モクセイ科/分類:植物油/抽出部位:果肉/主要脂肪酸:オレイン酸

【特性】単価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を多く含むため、酸化しにくい。肌への浸透がよく、保湿効果が高い。複数回圧搾されるうち、最初の圧搾で抽出されるものはエキストラバージンオイルと呼ばれ、栄養価に富む。平和の象徴でもあるオリーブの木の主産地は地中海沿岸で、古代エジプト時代から利用されている。

◆グレープシード油(=ブドウ種子油)科名:ブドウ科/分類:植物油/抽出部位:種子/主要脂肪酸:リノール酸、オレイン酸

【特性】ビタミン類を含み、肌への浸透性が高い。伸びが良く、さらさらした軽い感触のオイルで、トリートメント用によく利用される。刺激性が低く、敏感肌や脂性肌に向く。比較的酸化しやすく、長期保存には向かない。

◆ココナッツ油(=ヤシ油)

科名:ヤシ科/分類:植物脂/抽出部位:果肉/主要脂肪酸:パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプリン酸

【特性】飽和脂肪酸が多く、融点は約25℃。常温で固体。酸化しにくく、保存性が高い。古くから紫外線対策に用いられ、サンオイルやヘアケアなどに利用されてきた。甘く優しい香りを持つ。

◆ゴマ油(=セサミ油)

科名:ゴマ科/分類:植物油/抽出部位:種子/主要脂肪酸:リノール酸、オレイン駿

【特性】高温加熱圧搾された食用ゴマ油は淡黄色だが、基材として利用されるのは無色透明のゴマ油。セサモリン、セサミンなどの抗酸化物質が含まれるため、酸化しにくい。古くからアーユルヴェーダで利用されてきた。

◆小麦胚芽油(=ウィートジャーム油)

科名:イネ科/分類:植物油/抽出部位:小麦胚芽/主要脂肪酸:リノール酸、オレイン酸

【特性】比較的粘性は強く、トリートメント時には、他の植物油と混ぜて使用することが多い。ビタミンE(トコフェロール)が多く含まれる。

◆植物性スクワラン

科名:モクセイ科/分類:炭化水素/抽出方法:オリーブ油や大豆油などを蒸留後、水素添加

【特性】化学式C30H62の飽和炭化水素であり、油脂とは異なる。さらさらした軽い感触のオイルで、肌なじみが良い。酸化しにくく、保存性が高い。蒸留で得られるスクワレン(C30H50)は非常に不安定な炭化水素であるため、水素添加してスクワランとして用いる。              丿

◆スイートアーモンド油

科名:バラ科/分類:植物油/抽出部位:種子/主要脂肪酸:オレイン酸、リノール酸

【特性】よく伸びて扱いやすいオイルで、古くから化粧品の材料として広く使われてきた。あらゆる肌質に向く。

◆月見草油(=イブニングプリムローズ油)

科名:アカバナ科/分類:植物油/抽出部位:種子/主要脂肪酸:リノール酸、γ―リノレン酸

【特性】必須脂肪酸であるリノール酸が主要成分で、特徴成分としてγ―リノレン酸を含有する。非常に酸化しやすいのが特徴。古くから化粧品などの材料として使われてきた。

◆ツバキ油(=カメリア油)

科名:ツバキ科/分類:植物油/拙出部位:種子/主要脂肪酸:オレイン酸

【特性】肌に浸透しやすく、日本では昔からスキンケアやヘアケアに用いられてきた。酸化しにくく、保存に向く。

◆ホホバ油

科名:ツゲ科/分類:植物ロウ/抽出部位:種子/主要脂肋酸:ステアリン酸

【特性】メキシコやアメリカ南部の砂漠に自生する植物ホホバの実から抽出される植物ロウで、冬場の寒さで固まるが、温めると元にもどる。保湿力が高く、よく伸びて扱いやすい。また、酸化しにくく保存性に優れたオイルである。

◆マカデミアナッツ油

科名:ヤマモガシ科/分類:植物油/抽出部位:種子/主要脂肪酸:オレイン酸、パルミトレイン酸

【特性】オーストラリア原産の亜熱帯雨林に自生する植物から抽出されるオイル。皮脂の組成に似た脂肪酸、パルミトレイン酸を含むため、スキンケアによく用いられる。皮膚への浸透性が高い。また、酸化しにくく保存性に優れたオイルである。

 

〉〉〉植物油の抽出

通常、一つの植物からより多くの植物油を採るために圧搾法と溶剤抽出法の両方を使って採油されている。植物油の種類によって抽出方法が決まるのではなく、基本的には全ての植物油は圧搾法と溶剤抽出法の混合法で作られることが多い。アロマテラピーの書籍では植物油の抽出法については低温圧搾法と表記されていることが多いが、実際には低温圧搾、高温圧搾、溶剤抽出など様々な抽出法がある。

◆低温圧搾法

常温を維持した環境で原料を押し潰し、油脂を絞り出す方法。熱による成分の変質の心配がほとんどない。

◆高温圧搾法

油脂原料を焙煎、蒸すなどによって加熱し、原料内部に残った油脂を溶かした後、圧搾して抽出する方法である。

◆溶剤抽出法

有機溶剤のヘキサンに油脂原料を浸けて、油脂分を溶剤に吸収させた後、溶剤を分離する方法。油脂以外の脂溶性成分(ワックスや樹脂など)も抽出されてしまうため、溶剤分離後に精製の必要がある。

〉〉〉植物油の抽出部位

◆果肉

植物に形成される果実のうち、種子を除いた多肉質の、糖分や脂肪分などの栄養素や水分を蓄積する部分。種子散布にかかわる動物を誘引する機能を持ち、動物の食用部分になる。果肉が原料となる植物油には、オリーブ油、アボカド油、ココナッツ油などがある。

◆種子

種子植物に形成される散布体で、一般に種と呼ばれる部分である。種子が原料となる植物油には、グレープシード油、ゴマ油、スイートアーモンド油、月見草油、ツバキ油などがある。

 

〉〉〉植物油の特性

◆融点

固体が融解し、液体化する温度のこと。植物油の融点は低いため、常温で液体のものが多い。

◆劣化

物理的、化学的影響を受けて品質が低下すること。紫外線、高温、湿気などが植物油の酸化を促進し、劣化を促進する原因となる。

◆融解

物質によって固有の融点で、固体が液体化すること。

◆鉱物油

石油を分別蒸留させる過程で生じる残留物を化学処理し、無色無臭にした成分のこと。ワセリンやパラフィンなどの炭化水素があり、化粧品の原料として多用されている。十分に精製された鉱物油は、安定性が高く、皮膚に浸透しないため刺激性が少ないが、アロマテラピーでは使用されない。

◆抗酸化物質

物質の酸化を抑制する働きを持つ物質である。植物油の中には、トコフェロール(ビタミンE)、セサモール、カロテンなどの抗酸化物質を持つものがある。

◆ヨウ素価

油脂100 g に付加するヨウ素のグラム数を表したもので、成分中の不飽和度の高さを示す指標となる。ヨウ素価が高いほど二重結合が多い不飽和脂肪酸を多く含有するため、酸化しやすい。

◆乾性油

空気中に放置すると、酸化して固化するオイルのこと。酸化しオイルが固化することを乾燥と呼び、ほとんど乾燥しないオイルを不乾性油、乾性油と不乾性油の中間の性質を持つものを半乾性油と呼ぶ。一般にヨウ素価の高い油脂は乾燥性が高い。

◆鹸化価

エステルを酸とアルコールに分解する化学反応を鹸化といい、油脂の場合は、グリセリンと脂肪酸塩(石鹸)に分解することを指す。鹸化価とは、その分解反応を起こすために必要なアルカリの量のこと。植物油の鹸化価は、手作り石鹸の作製時に、アルカリ量を算定するために用いられる。

◆酸化特性

植物油は、常温でも自動酸化が進行する。自動酸化とは酸化した不飽和脂肪酸自体が触媒となって、酸化を促進することである。そのため、酸化特性を決定する要因は油脂を構成している脂肪酸の組成や、抗酸化物質の含有量、保存条件などが関係する。

3.基 材

◆ミツロウ

ミツバチの腹部にある腺から分泌されるロウ(ワックス)で、ミツバチの巣の材料となる。抗菌作用や被覆作用、皮膚軟化作用、保湿作用がある。さらに植物油と混ぜて使用することで、手作り化粧品のクリームなどの固さを

調節するためにも使用される。融点は60~66℃で、アルコールにはほとんど溶解しない。

※クリームとは…

水溶性成分と脂溶性成分を乳化したゲル状の化粧品で、化粧水や乳液などで得られた水分の蒸発を防いだり、栄養を補給したりする目的で用いられる。アロマテラピーでは、植物油脂やロウなどの基材を精油と組み合わせてクリームを手作りする場合がある。特にミツロウと植物油を基材として作る軟膏はクリームの定義には入らないものの、アロマテラピーではミツロウクリームと呼ばれ、被覆作用、皮膚軟化作用、保湿作用が期待できる。

◆クレイ

ケイ素やマグネシウムなどのミネラルなどを主成分とする粘土のこと。カオリンやモンモリロナイトなどがあり、含有するミネラル分の違いによって、さまざまな色がある。種々のクレイには、被覆作用、吸収作用、吸着作用、殺菌作用、冷却作用、収れん作用などがあるといわれ、使用方法や目的に応じて選択する。パック剤や、ファンデーションなどの粉末状化粧品の基材として用いられることもある。

◇カオリン

天然の岩石が風化してできた白色のクレイ。優れた吸収作用や吸着作用により、肌の皮脂や汗、汚れなどを吸着して取り除く。

◇モンモリロナイト(=モンモリオナイト、モンモリヨナイト)

緑色のクレイ。汚れを吸着する作用が非常に強い。カオリンに比べて水分を含むまでに時間がかかる。敏感肌や乾燥肌に向く。

・被覆作用

肌を保護したり、パック剤などのように肌の表面を覆ったりする作用のこと。経皮吸収を促進する。

・吸着作用

他の物質を吸い付ける作用のこと。アロマテラピーではクレイなどを使用して、老廃物を取り去る。

・吸収作用

他の物質を引き寄せ、内部に取り入れる作用のこと。

◆アルコール

一般的にはエチルアルコール(エタノール)のことをアルコールといい、酒類の主成分である。糖質を原料として得られる。精油は水にほとんど溶けないが、アルコールには溶けるため、精油を希釈するための基材として用いられる。精油を溶かすという目的では無水エタノールが最も適しているが、アルコール度数の高い無色無臭の酒類(ウォッカなど)や、消毒用アルコールなども使用することができる。工業用のメチルアルコール(メタノール)は毒性があるため、誤って使用しないように注意しなければならない。引火性や肌への刺激があるため、使用にあたっては注意が必要である。

◇無水エタノール

日本薬局方により、15℃でエタノールを99.5 %以上含むものが無水エタノールとして販売されている。アルコール純度が高いため、アロマテラピーの基材として適している。

◇消毒用エタノール

日本薬局方により、15℃でエタノールを76.9~81.4 %含むものが消毒用エタノールとして販売されている。皮膚や器具の消毒の目的で使用される。

◇ウォッカ

とうもろこし、大麦、小麦、麦、じゃがいもなどの穀類を原料にして蒸留される、東欧の蒸留酒である。酒税法上はスピリッツに分類される。無色無臭のため、アロマテラピー用の基材として利用できる。アルコール度数は40~96度と幅がある。

◆グリセリン(=グリセロール)

油脂から加水分解して得られる、無色透明の粘り気のある水溶性の液体。吸収性が高く、保湿効果があるため、化粧水やクリームなどの基材として利用される。精油、油脂にはほとんど溶けない。

◆重曹 じゅうそう(=炭酸水素ナトリウム)

弱アルカリ性の性質を持つ無臭で白色の粉末。酸性の汚れを中和させる働きがある。皮膚の柔軟、洗浄作用があり、皮膚をなめらかにする効果がある。脱臭剤、研磨剤、洗剤、入浴剤としても利用される。

◆クエン酸

柑橘系の果実などに含まれる有機酸の一つ。強い酸性で無臭の性質を持つ。重曹と組み合わせると、泡の出る入浴剤ができる。化粧水、石鹸シャンプーで洗髪後の手作りリンスの基材や、アルカリ性の汚れを落とすための洗剤として、また、衣類の仕上げ剤としても利用される。

◆天然塩

精製塩、食塩以外の塩のことを総称した通称名。あらしお、深層海水塩などがある。精製塩の成分が99%以上塩化ナトリウムであるのに対して、天然塩はマグネシウムを始めとするナトリウム以外のミネラルを含むとされているが、実際には天然塩を明確に定義するものはない。塩は血流をよくし、優れた発汗作用を持つため、天然塩はスクラブ剤や入浴剤の基材として使われる。

◆ハチミツ

ミツバチが花から採集した蜜を原料にして作り、巣に貯蔵する天然の甘味料である。ハチミツには、保湿作用や殺菌作用、抗炎症作用があり、クリームや入浴剤、パック剤などの基材として利用される。

◆水

基材として用いる水は、精製水か蒸留水など、不純物がない純度の高い軟水を用いる。化粧水などに市販の飲料水を用いる場合はミネラルが少ない軟水がよい。

◇精製水

日本薬局方により、常水(水道水)を蒸留、イオン交換、超濾過(逆浸透法/限界濾過)のいずれか、または、これらを組み合わせた方法で処理した水のこと。定められた純度試験に合格することが要求される。

◇蒸留水

蒸留とは液体の混合物を融点の違いに基づいて分離する方法のこと。蒸留によって精製された水を蒸留水と呼ぶ。

◇芳香蒸留水(=ハイドロソル、ハイドロラット、フローラルウォーター)

精油を水蒸気蒸留法で抽出する際に同時に得られる、原料植物の芳香成分を含んだ水のこと。精油を直接肌に使用できない子供や乳幼児にも利用でき、安全性が高く、穏やかな作用を持つ。そのまま化粧水として使用したり、クリームやパック剤の基材として用いられたりする。

・化粧水

皮膚を保湿し、整えるための液状の化粧品である。アロマテラピーでは、芳香蒸留水をそのまま化粧水として利用したり、水、グリセリン、無水エタノール、精油などを、目的に応じて組み合わせて化粧水を手作りしたりする場合がある。

・浸出油

浸出油とは、植物油に植物を漬け込み、植物の脂溶性の成分を浸出させた油のこと。カレンデュラ、セントジョーンズワード、アルニカなどの浸出油がある。基材となる植物油の働きに、浸出された植物の成分が加わるため、使用目的に応じて用いる。                      ▽

・エモリエント作用

皮膚を柔らかくする働きのこと。柔軟作用。

・モイスチャー作用

皮膚に潤いを与え、乾燥を防ぐ働きのこと。保湿作用。

・溶解

物質のイオンや分子が均一に混ざって溶けること。その溶解した物質と液体が均一な混合物になった液体を溶液という。

 

 

【参考文献・引用元】

アロマテラピー検定テキスト1級・2級(社)日本アロマ環境協会

アロマテラピー用語辞典(社)日本アロマ環境協会

資格マニュアル(社)日本アロマ環境協会

アロマテラピーコンプリートブック(上)BABジャパン