【皮膚】

Ⅵ.皮膚

①皮膚の働きと構造

◆皮膚の働き

3層構造の表皮・真皮・皮下組織がおもに感覚受容器・免疫器官・排泄器官などの働きをするほか、全身の健康のバロメーターといわれる。皮膚は、感覚を感じる感覚器としての役割、異物の侵入を防ぐ障壁としての役割、体温調節、汗や皮脂の分泌、老化した角質などの排泄、呼吸(皮膚呼吸)、栄養貯蔵などの役割を果たしている。

◆皮膚の構造

皮膚は身体の表面全体をおおう皮膜で、表面積は成人男性で1.5~1.8㎡、重量は体重の8~16%という人体最大の臓器である。その構造は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層で、付属器官として汗腺・脂腺・毛・爪がある。

皮膚は、上層から表皮、真皮、皮下組織の三層に分かれ、さらに付属器官として、汗腺、皮脂腺、毛、爪などがある。

◆皮脂膜(=脂質膜)

皮膚表面にある弱酸性の薄い膜で、皮脂と汗が少しずつ混ざり合って形成される。疎水性、親油性などの性質を持ち、抗菌作用、殺菌作用の他、角質層を始めとして身体内部の水分蒸発を防ぐ保湿機能や、外界からの刺激から皮膚を守る保護機能などの役割を果たしている。

◆表皮

表皮は外胚葉由来の上皮組織で、下層から基底層、有棘層、顆粒層、淡明層、角質層(角層)からなる重層扁平上皮である。足の裏など、外的刺激を受けやすい場所の表皮は厚く、まぶたなどのよく動く場所の表皮は薄くなっている。

◇基底層

表皮の最下層で、基底細胞と色素産生細胞から成る。絶えず細胞分裂が行われており、基底細胞から分裂した細胞は、有棘層、顆粒層、淡明層、角質層と表層に向かって押し上げられていく。

基底層は、角化細胞(角質産生細胞、基底細胞、ケラチン細胞、ケラチノサイトともいう)と、メラノサイト(メラニン産生細胞、色素産生細胞)からなる層で、その95%は角化細胞が占めている。表皮を構成する細胞は、角化細胞が分裂して産生され、有棘層→顆粒層→淡明層→角質層と約2週間かけて上層へ移動し、角質層で核がなくなり細胞は死ぬ。

このように角化細胞が角質細胞に成熟し変化する現象を角化という。表皮と真皮は、基底層が分けている。

■角質細胞

表皮の角質層を形成する無核、扁平、板状の細胞で、角質ともいう。ケラチンという硫黄を含むタンパク質でできている。基底層の基底細胞は約2週間かけて角質層まで達し、やがて無核の角質に変化する。角質はさらに2週間かけて表層へ移動し、フケや垢となってはがれ落ちる。

◇有棘層

基底層と顆粒層の間にあり、表皮の中で一番厚い。デスモゾーム構造という非常に強固な結合(構造)となっている。棘のような多数の突起により、細胞が互いに結ばれている構造を持つ。有棘層には、組織液が流れて栄養が運ばれている他、免疫にかかわるランゲルハンス細胞や基底層で産生されたメラニンが存在し、異物や紫外線から内部を保護している。また、有棘層には知覚神経も達している。表皮には血管がないが、この層には組織液が流れていて栄養を運ぶ。

■皮膚免疫細胞

皮膚における免疫細胞は、有棘層にあるランゲルハンス細胞である。ランゲルハンス細胞はマクロファージの一種で、食作用や抗原提示など皮膚での免疫機能の一端を担っている。

■色素産生細胞(=メラノサイト)

メラニンを産生する細胞で、表皮の基底層や毛球などに存在する。色素産生細胞によって産生されたメラニンは紫外線を吸収し、真皮への侵入を防ぐなど生体防御にかかわるが、過剰に紫外線を受けるとメラニン生成量が増加し、色素沈着を招く。人種による皮膚の色調の違いは、表皮のメラニン量に左右される。

◇顆粒層

角質層、または淡明層の下にあり、3~5層の扁平な細胞から成る。細胞には角質層におけるケラチン形成のための物質が含まれている。顆粒層はガラス質の成分でできており、紫外線を屈折させる性質がある細胞の核が変性し、角質の前段階の物質を含む。

◇淡明層(透明層)

角質層の下にあり、表皮が厚い手のひらと足の裏だけに見られる。何層にも重なった透明で扁平な細胞から構成されている。

◇角質層(角層)

表皮の最上層で、核のない死んで扁平な角質細胞が重なってできた重層構造を持つ。数層から数十層存在する。固い角質(ケラチン)が積み重なっていて、角質細胞内には尿酸、アミノ酸、乳酸塩などの水溶性成分の混合体である天然保湿因子[NMF:Natural Moisturizing Factor)があり、角質細胞内の水分量を約10~20%に保っている。角質細胞と角質細胞の間にはセラミドなどの細胞間脂質があり、水分の蒸発を防ぎ、異物の侵入を防ぐ役割を果たしている。角質層の表面には皮溝という無数の細かい溝と、皮丘という皮膚が高くなった部分があり、この配列が整っているとキメ細かくきれいな肌に見える。角質は、2週間ほどでアカやフケになってはがれ落ちる。

■角化

表皮の基底層の基底細胞が、有棘層、顆粒層などを経て角質層に至り、最終的に無核となり、均質な層状構造になる過程のこと。角化の過程で角化細胞は天然保湿因子や細胞間脂質を作る。肌のターンオーバーが乱れると、正常な角化が行われず、角化異常によって肌にトラブルが生じやすい。また、表皮が角化変形したものを角質器という。

■天然保湿因子(=NMF、Natural Moisturizing Factor)

尿素、アミノ酸、乳酸塩などの水溶性成分の混合体。表皮の角質層で角質細胞内に存在し、細胞内部の水分を20%程度に保持する働きがある。

◆ヒアルロン酸

ゼリー状の高分子多糖類で、高い水分保持力を持つ物質。表皮において細胞と細胞の隙間を、また、真皮の網状層において膠原線維と弾性線維の間を満たす間質の一つである。皮膚中のヒアルロン酸は、加齢とともに減少することが知られている。

◆細胞間脂質

表皮の角質層で角質細胞と角質細胞の間をはがれにくくし、水分の蒸発を防ぐ役割を持つ脂質である。細胞間脂質の一つに角質層におけるセラミドがある。

◇セラミド

表皮の角質層で角質細胞と角質細胞の隙間を埋める細胞間脂質の構成成分の一つ。その構造により親水性の部分と親油性の部分を有しているため、水分を保つ働きがある。

◆真皮

表皮の下に位置し、網目状にしっかりと配列された線維性の結合組織から成り、上層から乳頭層、網状層に分かれる。真皮は網状の結合組織で、中胚葉に由来する。皮膚の中心になるところで、表皮の数倍の厚さがある。乳頭層には末梢血管や知覚神経が張り巡らされている。また、網状層は膠原線維が90%を占め、弾性線維が交差し、その間をヒアルロン酸などの間質が満たしている。またこれらのもととなる繊維芽細胞なども見られる。真皮は知覚、汗や皮脂などの分泌、排泄、体温調節、皮膚の弾力性、皮膚の強さ、潤い保持、栄養代謝や内呼吸が行われている。また、アレルギー反応をおこす肥満細胞もある。

◆膠原線維(=コラーゲンファイバー)

真皮の網状層における主たる構成成分で、コラーゲンを主成分とする太くて丈夫な線維タンパク質である。ストレスや紫外線、加齢などでコラーゲンが減少すると、皮膚の保湿性や弾力性が低下する。コラーゲンの生成維持にはビタミンCが大切な働きをしている。

◆弾性線維(=エラスチンファイバー)

表皮の網状層における構成成分で、膠原線維と網状に交差するように存在する。エラスチンを主成分とする、弾力性のある線維タンパク質である。

◇網状層

真皮の最下層で皮下組織に接しており、約90%を占めるコラーゲン(繊維タンパク質からなる膠原線維)と、弾性線維(エラスチンからなる弾力性のある線維タンパク質)が網状に交差して、そのすき間を水分保持力が強いゼリー状の間質(ヒアルロン酸など)が満たしている。コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などは、線維芽細胞(フィブロプラスト)が作る。コラーゲンが減少すると、ヒアルロン酸が増えて水分保持率が大きくなり、むくむ。また、コラーゲンが減少すると皮膚の弾性や保湿性が失われ、小じわやかさつきの原因となる。ビタミンCは、コラーゲンの生成・維持に役立つ、メラニン生成を抑えるなどの大切なはたらきをするビタミンである。また、ビタミンEはビタミンCのはたらきを間接的に助け、ビタミンCと共同して色素の沈着を防ぐ。

◇線維芽細胞(=フィブロブラスト)

真皮にある細胞で、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など真皮の成分を生成する。

◇乳頭下層

網状層と乳頭層の間にある層である。

◇乳頭層

表皮のすぐ下(真皮の上層)にあり、表皮と接している。末梢血管と知覚神経が張り巡らされいる。

◇皮下組織(=皮下脂肪組織)

皮膚の最下層に位置し、疎水性の結合組織から成る。結合組織であるが、真皮ほど強く結合していません。真皮と筋膜のあいだをうめており、脂肪細胞が豊富で身体の部位や栄養状態、年齢によっても厚さが変わる。思春期以降の女性では特に発達している。皮下組織は衝撃を和らげ、保湿、保温や栄養貯蔵などの役割を持つ。

◆皮膚付属器官

皮膚には汗腺と皮脂腺があり、両方から分泌される分泌物は混ざり合い、pH5.2~5.8の弱酸性の皮脂膜を作り、その殺菌作用で細菌から身体を守る。

◇汗腺

汗を分泌する汗腺には、エクリン腺(小汗腺)とアポクリン腺(大汗腺)の2種類がある。

■エクリン腺(=小汗腺)

毛と関係なく存在する汗腺で、全身に分布している。全身に200~500万個あり、特に手のひらと足の裏に多く存在する腺のこと。

汗腺の開口部は皮膚表面にあり、汗孔と呼ばれる。エクリン腺から分泌される汗は体温調節や代謝産物を排泄する働きの他、皮脂と混ざり合って弱酸性の皮脂膜を形成することで皮膚表面の微生物の増殖を防止するなどの働きを持つ。また、エクリン腺は自律神経の働きとかかわりが強い。発汗は気温や湿度の上昇による温熱性発汗と、辛いものを食べた際の味覚性発汗、緊張などによる精神的発汗があるが、冷や汗のような精神的発汗は、体温調節にはあまり関係がない。

■アポクリン腺(=大汗腺)

思春期に急速に発達し、腋窩や外耳道、外陰部、乳輪など特定の部位に分布する腺のこと。開口部は毛包の上部にある。アポクリン腺は内分泌系の働きと関わりが強い。タンパク質や脂質に富む、特有のにおいを持つ汗を産生し、細菌によって分解されると体臭の原因ともなる。アポクリン線から分泌される汗には体温調節の役割はない。

◇皮脂腺

脂肪やコレステロール、タンパク質、電解質の混合物である皮脂を分泌する皮膚の付属器官のこと。皮脂を分泌する皮脂腺には、毛包上部に開口し、手のひらと足の裏以外の全身にある皮脂腺と、乳房・口唇・肛門周辺に直接開口する毛包に付属しない独立皮脂腺がある。脂腺は外分泌線で、一般に男性ホルモンは脂腺を肥大させ皮脂分泌を促進、女性ホルモンは脂腺を縮小させ皮脂分泌を抑制する。男性は50歳を過ぎると、女性は35歳を過ぎると皮脂の分泌は衰えていく。

◆角質器(毛・爪)

角質器は表皮が角化変形したもので、毛と爪がある。

◇毛

皮膚から出ている部分を毛幹、皮膚に入っている部分を毛根という。毛幹の断面は中心から毛髄、毛皮質、キューティクルと呼ばれる毛小皮の3層に分かれている。毛根は毛包で包まれており、先端にある球根のように膨らんでいる部分を毛球という。毛球には、毛母細胞、色素細胞、毛乳頭があり、毛乳頭に血管がつながっている。その血管から栄養を受け取った毛母細胞が分裂し、色素細胞が色素を供給して毛を作り、成長する。細胞分裂が止まって角化し、脱毛するまでの寿命(ヘアーサイクル)は頭髪では3~6年、眉毛は約100日である。構造的に脂腺の影響を受けやすい。毛包に沿って立毛筋が走っており、寒い時やストレス下において毛が立つ。

◇爪

表皮が硬く角化した角質器のことで、皮膚の付属器官である。皮膚に隠れている部分が爪根、外に出ている部分を爪甲といい、爪根にある爪母基で増殖して成長する。皮膚から出たところの半月は、新生して角化がまだ不十分な爪である。爪は手足の指先を保護し、物をつかんだり、細かい動作をするうえで重要な役割を果たす。

◇立毛筋

真皮の表層から起こり、毛包に沿って存在する平滑筋で、交感神経の支配を受けている筋肉の事。寒い時やストレス下において、立毛筋が収縮すると鳥肌が立つ。鳥肌は、人が毛を逆立てて体温を逃さないようにするためで、敵を威嚇する働きの名残である。

◆ターンオーバー

表皮の新陳代謝のことで、角化によって表皮の細胞が入れ替わること。基底層で説明したように、表皮を構成する細胞は、基底層にある角化細胞で作られ、上層へと移動する。顆粒層、淡明層を経て徐々に変性し、平均して約2週間で角質層に達し、核をなくして角質(ケラチン)に変化する。さらに2週間かけてこの角質は外側へと移動し、片鱗(フケやアカ)となってはがれ落ちる。このように表皮は常に生まれ変わっている。この、表皮を構成する細胞が生まれてからはがれ落ちるまでを表皮サイクル(夕-ンオーバー、スキンサイクル)といい、ターンオーバーにかかる時間は健康な肌で4~6週間程度だが、ターンオーバーの期間が長いと肌がくすみ、短いと不完全な角質層ができる。その期間が極端に長いと角質が肥厚して肌がくすみ、短いと天然保湿因子や細胞間脂質が少なくなり、肌のバリア機能が低下し、肌乾燥や肌荒れ、かゆみなどのトラブルが起こりやすくなる。肌のターンオーバーが乱れる原因としては、紫外線や摩擦など外部からの刺激以外に、食事や睡眠なども大きく影響する。

皮膚の機能

 皮膚の知覚作用

 皮膚は、痛覚、触覚、圧覚、温度覚などを感じる感覚器官で、感覚は中枢神経に伝達される。

◆皮膚の保護作用

◇物理的力に対する保護作用

表皮の表面は死んだ角質細胞が覆っているため、多少の傷では生きた細胞を傷つけることはない。また角化細胞はデスモゾーム構造という強固な構造によって互いに接着しており、外力で接着が剥がれることは通常はないのである。皮下脂肪はクッションの役割を果たし、外力を吸収してそれよりも中にあるものを保護するはたらきをもっている。

このように皮膚や皮下組織の構造上の特徴から、外傷を負っても内臓などの重要な臓器には及ばないようになっている。

◇化学刺激や病原微生物に対する保護作用

正常な皮膚は、ほとんどの病原微生物を通さない。皮脂と汗で作られる皮脂膜は、pH5.2~5.8の弱酸性を保ち、殺菌作用をもっているが、多量に汗をかくとアルカリ性に傾き細菌に感染しやすくなる。また、表皮にはランゲルハンス細胞(マクロファージ)があるため、細菌の侵入を防ぐ。

表皮の角質層とその細胞間脂質(おもにセラミド)は、ラメラ構造という大変に強い構造を作っている。ラメラ構造とは、脂質と水分が重なり合った構造のことで、角質層では表皮細胞由来の脂質成分とNMFが何層にも重なり合ってラメラ構造を作っている。この構造によって、皮膚は水溶性の異物の侵入を防ぎ、また、体内の水分が過剰に蒸発するのを防いでいる。

◇紫外線に対する保護作用

紫外線から身体を守るために、表皮基底層にあるメラノサイトがメラニン色素を作り、紫外線を吸収し、紫外線が真皮に侵入するのを防ぐ。過度に紫外線を受けるとメラニン色素が沈着して、シミやソバカスになるが、ビタミンCにはそれを抑える効果がある。

◆皮膚の保湿作用

前述したように角質細胞内には水分保持能力の高いNMFが存在しており、水分を保持するようにはたらいている。そして、角質細胞と角質細胞のあいだにはセラミドなどの細胞間脂質が存在し、皮膚の表面を滑らかに整えて角質層からの水分の喪失を防ぎ、さらには皮膚表面を覆っている皮脂膜が水分の蒸散を防いでいる。このように皮膚の保湿にはNMFやセラミドなどの細胞間脂質、皮脂膜が関与している。

皮膚の水分量は、角質層で約20%、角質層よりも下の皮膚では60~70%に保たれている。角質層の水分が10%以下になるとドライスキンと呼ばれ肌のうるおいがなく、カサカサした肌荒れを生じる。

◆皮膚の体温調節作用

皮膚は、汗を分泌して体熱を放散し、寒いときは毛孔を閉じて体熱の放散を防ぐ。また、血管を拡張・収縮して体温を調節する。

②皮膚の分泌・排泄作用と吸収

◆皮膚の分泌・排泄作用

皮膚は、汗を分泌することによって体内の老廃物を排出し、腎臓の負担を軽くしている。また、皮膚呼吸によって二酸化炭素を排出している。

◆皮膚からの精油の吸収

精油を使用してトリートメントを行うと、精油の成分が表皮から吸収されて真皮にある血管やリンパ管に入る。皮膚の表面からいろいろなものが真皮まで入っていくことを経皮吸収という。このようにして吸収されたものは、血行にのり全身に運ばれることになる。経皮吸収では、毛口から毛包内に入って、さらに真皮内に入っていく。これらの経路が皮脂で満たされているために油溶性のものが直接皮膚に触れることが必要となる。したがって、水溶性のものは健康な皮膚からは通常は吸収されず、皮膚に塗布したとしても角質内にとどまるのみである。角質内にとどまるのは、角質層とその下の顆粒層との間にバリアー・ゾーンという薄い層があって、水分の出入りを妨げているからである。

精油は、小さな分子構造をしているうえ親油性なので皮脂膜になじみ、角質層も通過して血管やリンパ管に入り、全身の組織、器官へと運ばれやすいという特性をもっている。ある研究によると、ラベンダー精油を入れたトリートメントオイルを皮膚に塗ったところ、5分以内にその成分が血液中から検出されたという結果が報告されている。

なお、トリートメントを行う際の皮膚への精油の吸収率が良い条件は、皮膚の水分量が20%以上であること、体温が少し高めであることなどがあげられる。入浴後などにトリートメントを行うのがよいとされる理由はここにある。

◆浸透

皮膚上に塗布されたトリートメントオイルなどの精油成分が表皮や真皮に到達することを示す。血流にのらず、皮膚などに局所的な効果を及ぼす。

◆経皮吸収

精油などの脂溶性の成分が、表皮の皮脂膜や角質層の重層構造などのバリアを通過して皮膚の血管やリンパ管に吸収され、血流にのって全身に行きわたること。

◆ケラチン

皮膚や爪、毛を構成する硫黄を含むタンパク質の総称。20種類のアミノ酸が結合してできており、アミノ酸の組成によって、毛や爪に含まれる硬質ケラチン、皮膚の角質層に含まれる軟質ケラチンに分けられる。皮膚に強度と防水性とを与え、紫外線や摩擦などの外部刺激から保護する役割を持つ。

〉〉〉皮膚の健康

皮膚の健康は全身の健康状態の影響を強く受ける。特に内臓の健康状態は皮膚に表れやすい。日頃の生活習慣やストレス、加齢、また、女性の場合は生理周期によるホルモンバランスによっても変化が生じる。

◆色素沈着

皮膚にメラニン色素が沈着してシミやソバカスになること。色素沈着の原因には、過度に紫外線を浴びること、ニキビなどの炎症、皮膚のターンオーバーの乱れ、摩擦などがある。

◆老班(=老人性色素班、日光黒子)

シミの形態の一つで、顔や四肢などの、日光が当たりやすい場所に色素沈着が起こってできる茶色のシミのこと。多くは中年期以降に見られるが、紫外線をたくさん浴びていると若年でも現れることがある。

◆浮腫

毛細血管における濾過と再吸収のバランスが崩れた結果、細胞間に水分がたまって起こる状態のこと。