【内分泌系】
Ⅲ.内分泌系

◆内分泌系

ホルモンを分泌する内分泌腺や内分泌器官の集まりで、生体内の生理状態を調節している。神経系とともに体内の恒常性を維持しており、ストレス反応にも関与する。

◆内分泌器官

ホルモンを作る内分泌腺を持つ器官のこと。内分泌器官には、下垂体、松果体、甲状腺、胸腺、膵臓、副腎、卵巣、精巣などがある。

◇下垂体(=脳下垂体)

間脳にある視床下部と密接に連携して働く部位。下垂体の前葉からは、成長ホルモン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンなどが放出され、下垂体中葉からメラノサイト刺激ホルモン、下垂体後葉からは、バソプレッシン、オキシトシンが放出される。

◇松果体

左右大脳半球の間にある器官で、生体リズムにかかわる。メラトニンを放出する。

◇甲状腺

喉頭から気管の前側にある、蝶の形をした重さ約20gの内分泌腺。サイロキシンとカルシトニンを放出する。

■上皮小体(=副甲状腺)

甲状腺の後ろ側に、左右上下一対ずつある米粒大の内分泌腺。重さはわずか0.1gで、パラソルモンを放出する。

◇胸腺

胸骨のすぐ後ろにある内分泌腺。免疫機能に深くかかわり、チモシンと呼ばれる免疫にかかわるホルモンを放出している。

◇膵臓

胃の裏側にある約70gの臓器。膵臓内に存在するランゲルハンス島からは、インスリンとグルカゴン、ソマトスタチンが放出される。

■ランゲルハンス島(=膵島)膵臓の組織内に島状に散在する内分泌性細胞群のこと。A細胞、B細胞、D細胞の3種に区別され、それぞれ糖代謝に関係するホルモンを産生する。A細胞ではグルカゴン、B細胞ではインスリン、D細胞ではソマトスタチンを産生している。

◇副腎

腎臓の上に位置する内分泌腺。重さ約8gで中央部の髄質と周辺部の皮質に区別される。髄質からはアドレナリンとノルアドレナリン、皮質からはアルドステロンとコルチゾールなどが分泌される。

◇卵巣

骨盤腔にある梅の実大、左右一対の臓器。卵子形成の他、女性ホルモンの分泌を行う内分泌腺である。卵巣周期に合わせて、エストロゲンとプロゲステロンを分泌している。

◇精巣

睾丸ともいわれ、梅の実大の生殖器官。精子を作る部分以外に、テストステロンという男性ホルモンを放出する内分泌腺の機能を果たす。

①内分泌系の調整機能

内分泌系は、微量でも効果をあげる生理化学物質(ホルモン)を分泌する内分泌腺や内分泌官の集まりで、神経系よりも長時間、恒常性(ホメオスターシス)の維持を行う。

◆視床下部

間脳にある自律神経系の最高中枢である。内分泌系の働きとしては、下垂体前葉ホルモンの働きを調節する視床下部ホルモンを放出している。また下垂体後葉から分泌されるホルモンは視床下部で作られ、後葉に貯められ、必要に応じて血液中に放出される。

◆ホルモン

内分泌腺から分泌される情報伝達物質の一種で、身体のさまざまな生理状態を調節し、微量でも大きな作用をもたらす。血液中に放出され目的とする標的器官に運ばれたホルモンは、受容体のある標的細胞にだけ特異的に結合して作用する。

◆内分泌腺

ホルモンを生産・貯蔵・分泌する腺のことである。導管をもたないのでホルモンは直接血管に放出され、血流にのって標的器官まで運ばれる。

◆外分泌腺

導管によって分泌物を皮膚や粘膜の表面に分泌する腺のことである。汗を分泌する汗腺、胃液を分泌する消化腺、乳汁を分泌する乳腺などがある。

◆上位ホルモン

他の内分泌器官に作用して、その内分泌腺の生成を調節するホルモンのこと。下垂体前葉から分泌される上位ホルモンには、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモンなどがある。◆フィードバック機構(自動制御機構)

視床下部一下垂体系と下位内分泌腺の間で働く、ホルモンの自動制御機構のこと。

下位内分泌腺において、ある種のホルモンが減少すると、下垂体前葉から刺激ホルモンが分泌され、さらに、その産生か増加すると、分泌が抑制されるという分泌調節のシステムが行われる。ホルモンは分泌量が不足しても過剰になっても身体に障害が生じるため、このような調節が行われる。

 

②各内分泌器官とホルモンの働き

【解剖生理学資料 「各内分泌器官とホルモンの働き」参照】