【健康学】
1.健康と食生活
健康とは
健康の概念
・身体面の健康・・・病気を含めた身体症状、体力、免疫力など。
・精神面の健康・・・病気を含めた精神症状、精神の安定、やる気、満足度など。
・社会面の健康・・・社会的役割、人間関係など。
健康的な生活とは
健康に関わる3つの要因
・本人によるもの
遺伝や加齢、性別、もっている免疫力などが関わる。
・外部環境によるもの
大気、水、土壌などの自然環境や職場、人間関係、経済面といった外部環境も関わる。保健や医療サービスの充実度も外部環境の要因の1つである。
・生活習慣によるもの
食事、運動、睡眠、休養、嗜好品などの生活習慣とも深く関わる。
2.栄養
栄養素とは
食物に含まれている成分のうち、生命維持に必要な成分のこと。糖質、タンパク質、脂質を三大栄養素、そこにビタミン、ミネラル(無機質)を加えたものを五大栄養素と呼ぶ。また、栄養として身体に吸収されるものではないが、生活習慣病予防の観点から五大栄養素に食物繊維を加えたものを六大栄養素と呼ぶ。
①六大栄養素とその機能
◆炭水化物(分解されやすい糖質と分解されにくい食物繊維に分けられる)(
単糖を構成成分とする有機化合物の総称。ブドウ糖、果糖などの単糖類、ショ糖などの二糖類、グリコーゲン、デンプンなどの多糖類などに分類され、穀類やイモ類、砂糖などに含まれる。糖質と食物繊維を合わせて炭水化物と呼ぶ。糖質は約4kcal/gの熱量を産生し、その産生スピードはタンパク質や脂質に比べて迅速である。また、糖質は消化の過程でブドウ糖として吸収され、血中に入る。ブドウ糖は生体において主要な栄養素であり、脳や神経細胞の唯一のエネルギー源となる。糖質は、肝臓でグリコーゲンという形で貯蔵→グルコースとなり血液から全身へ運ばれる。余剰分は脂肪組織で中性脂肪になる。砂糖や果糖の取りすぎは肥満や生活習慣病を招くため、デンプン質で糖質を摂取することが望ましい。
・食物繊維
炭水化物の中で人間の消化酵素で消化されにくい難消化性多糖類のこと。セルロース、グルコマンナンなどの多くはデンプンと同じ多糖類でもある。食物繊維には藻類などに多く含まれる水溶性食物繊維と、カニやえび、野菜などに多く含まれる不溶性食物繊維に分けることができる。
食物繊維の働き
・消化管のぜん動運動を促進し、便秘を予防する。
・人体に有害な物質を吸着して排泄し、大腸がんの予防や血中コレステロールの低下などに働く。
・腸内の有害細菌を抑えて腸内環境を良くする。
・糖質の吸収を遅らせ、血糖値を下げ、肥満や糖尿病を予防する。
◆タンパク質
数十から数千個のアミノ酸が結合してできた有機化合物である。結合するアミノ酸の数が少ないものをペプチドという。消化の過程では、アミノ酸、もしくはペプチドの形で吸収される。タンパク質には、動物性と植物性の2種類があり、この中には体内で合成されない必須アミノ酸も含まれている。消化の過程でアミノ酸、もしくはペプチドの形で吸収され、約4kcal/gの熱量を産生する。動物性タンパク質はすべての必須アミノ酸の量が十分でバランスが良いことが特徴であるが、脂質も多く含まれるため、脂質の過剰摂取に気を付ける。タンパク質は、血液や筋肉などの身体の構成成分となり、生命維持に欠かせない上、酵素や遺伝子、ホルモン、免疫システム、抗体、神経伝達物質などの生成にもかかわっている。
◇アミノ酸
タンパク質を合成する20種類の物質のこと。体内で合成されないが、人体にとって必要なものは必須アミノ酸(9種類)と呼ばれる。
◆脂質
脂質は、体内で貯蔵されてエネルギー源となる中性脂肪(=トリグリセリド)、コレステロールや生体構成成分となるリン脂質がある。脂質は約9kcal/gの熱量を産生し、糖質やタンパク質に比べてエネルギー効率が高く、優れたエネルギー源である。
・中性脂肪
中性脂肪は食物から摂取されるとともに肝臓でも合成され、単に脂肪とも呼ぶ。体内の脂肪組織に蓄えられ、必要に応じて脂肪酸に分解され、て燃焼し、エネルギー源となる。熱伝導性が低く体温保持に役立つ他、臓器を保護するクッションの役目をする。脂肪酸のうち、体内で合成されない、またはされにくいものは必須脂肪酸と呼ばれ、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などがある。また、ホルモン、細胞などの構成成分でもあり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きをする。
◇動物性油脂(=動物性脂肪)
動物を原料にしてとれる油脂のこと。豚油(ラード)や牛脂(ヘット)などがある。パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸が多く含まれ、血中コレステロールを増加させやすい。また、融点が高く、常温で固体のものが多い。
◇植物性油脂(=植物性脂肪)
植物を原料にしてとれる油脂のこと。オリーブ油やゴマ油などがある。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸や魚油に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)DHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸が多く含まれるため、血中コレステロールを低下させて脂質異常症や動脈硬化症などを予防する働きがある。リノール酸やリノレン酸は必須脂肪酸でもある。融点が低く、常温で液体のものが多い。
◇飽和脂肪酸
分子構造中の炭素が水素で飽和されており、炭素間に二重結合を持たない脂肪酸のこと。酸化安定性が高い。主に肉や乳製品などの動物性油脂に多く含まれる。生体内では貯蔵脂肪として機能するが、低比重リポタンパクや中性脂肪を増やす原因になる。
◇不飽和脂肪酸
分子構造中の炭素間に二重結合を持つ脂肪酸のこと。二重結合の数によって。単価や多価の脂肪酸に分類される。不飽和脂肪酸を多く含む油脂は常温で液体であることが多く、分子構造中に二重結合の数が多いほど酸化安定性は低い(酸化しやすい)。オレイン酸、パルミトレイン酸や、リノール酸、リノレン酸などがある。
◇必須脂肪酸
生体内で合成されない、または、されにくく、食品から摂取する必要がある人体に必要不可欠な脂肪酸のこと。リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などがある。必須脂肪酸が不足すると、生体内における代謝過程がうまく働かなくなるため、各必須脂肪酸の必要量をバランスよく摂取する必要がある。
◇コレステロール
肝臓や小腸で合成される脂質の一種。リン脂質とともに細胞膜を構成する物質であり、ビタミンDの原料となる。また、副腎や精巣、卵巣でホルモンの生成などに利用される。ビタミンDや胆汁酸を生成する際にも重要である。体内のコレステロールのうち約70%は肝臓で合成され、残りの約30%は食品から摂取される。血液中では、コレステロールはタンパク質と結合したリポタンパクの様態で存在しており、肝臓からコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を持つため、動脈硬化症などを進行させてしまうことからLDL(低比重リポタンパク=悪玉コレステロール)と、逆に全身の細胞から不要なコレステロールを肝臓に戻すHDL(高比重リポタンパク=善玉コレステロール)などがあり、動脈硬化症などの生活習慣病の予防に働く。
◇リン脂質
細胞膜を構成する物質で、脂肪酸とリン酸化合物を含む化合物の総称。疎水性物質の親和性を保つ役割を持つ。リン脂質の一種に大豆や卵黄に含まれるレシチンがある。脂溶性、水溶性、両方の特徴を持っている。納豆、枝豆、豆腐などの大豆食品や卵に多く含まれる。
◆ビタミン
微量で他の栄養素の代謝を助け、潤滑油のような働きをする有機化合物。脂溶性と水溶性のビタミンがある。体内で合成されないものが多く、食事から摂取する必要がある。生体内における代謝や生理機能に対して触媒的に働くため、不足すると、それぞれのビタミンに特有の欠乏症が起こる。主に約13種類のビタミンが生命活動に不可欠な主要ビタミンである。
◇脂溶性ビタミン
水には溶けず、油脂に溶けやすい性質を持つビタミンのこと。油とともに摂取すると吸収されやすい。摂取した余分な脂溶性ビタミンは肝臓に蓄積されるため、過剰摂取には注意が必要である。ビタミンA、D、E、Kが脂溶性ビタミンである。←ビタミンDEKA
■ビタミンA
脂溶性ビタミンの一つ。皮膚や粘膜の形成にかかわり、網膜の構成成分となる。抗酸化作用を持ち、免疫力を高めて風邪を予防する他、細胞の正常な分裂を助けてガンを予防する。欠乏すると成長障害や夜盲症などを引き起こす。動物性のものと植物性のものがあり、動物性のものはビタミンとして体内に吸収され、利用される。一方、植物性のものは、β-カロテンとして摂取され、必要に応じて体内でビタミンAに変換される。ニンジンなどの緑黄色野菜に多く含まれる。
■ビタミンD(=カルシフェロール)
脂溶性ビタミンの一つ。カルシウムとリンの吸収と放出を助け、健康な骨を作るために欠かせない。紫外線に当たることによって、コレステロールから皮膚で合成される。日照不足などで欠乏すると、くる病や骨軟化症、骨粗しょう症を引き起こす。魚介類、卵類、きのこ類に多く含まれる。
■ビタミンE(=トコフェロール)
脂溶性ビタミンの一つ。抗酸化作用があり、特に体内の脂質の酸化を防いで細胞の老化を防ぐ働きがある。ホルモン生成や分泌、生殖機能に関与する。欠乏症は起こりにくいが、欠乏すると抜け毛や生殖機能障害、筋力低下などが生じる。小麦胚芽や植物油、卵黄、豆類に多く含まれる。
■ビタミンK(=フィロキノン)
脂溶性ビタミンの一つ。血液凝固に必須のプロトロンビンの合成に必要である。骨の代謝にかかわり、骨質を維持する。一部、腸内細菌によって合成される。欠乏すると、出血が止まらなくなるなどの血液凝固異常を引き起こす。レバー、植物油に多く含まれる。
◇水溶性ビタミン
水に溶けやすい性質を持つビタミンのこと。生体に吸収されやすいが、必要量以上は尿中に排泄されるため、体内にはほとんど蓄積されない。そのため、必要量をまとめて一度に摂取するよりも、こまめに摂取することが望ましい。ビタミンB1、B2、ナイアシン(B3)ビタミンCなどがある。
■ビタミンB1(=チアミン)
水溶性ビタミンの一つ。脳や神経の正常な働きを助け、消化液の分泌を促進する。また、糖質の代謝にかかわり、エネルギー産生に欠かせない。欠乏すると疲労しやすく、イライラしたり、脚気や神経炎、浮腫、心臓肥大等の症状を生じたりする。レバー、小麦胚芽、豆類に多く含まれる。
[所要量]成人男子1.1㎎ 成人女子0.8㎎
■ビタミンB2(=リボフラビン)
水溶性ビタミンの一つ。タンパク質と脂質のエネルギー代謝にかかわる。また、皮膚や口内の粘膜を保護、爪や髪の成長を助ける。欠乏すると、成長障害や口角炎、皮膚炎を引き起こす。乳製品、卵、緑黄色野菜に多く含まれる。
■ナイアシン(=ビタミンB3)
水溶性ビタミンの一つでニコチン酸とニコチン酸アミドの総称。糖質、脂質、タンパク質の代謝にかかわる。生体内では必須アミノ酸の一種であるトリプトファンからも合成される。多くの食品に含まれるが、欠乏すると食欲不振や皮膚炎、ペラグラなどが起こる。魚類、肉類などに多く含まれる。
■ビタミンC(=アスコルビン酸)
水溶性ビタミンの一つ。タンパク質の代謝にかかわり、コラーゲン生成に必要である。また、抗酸化作用を持ち、老化防止、メラニン生成の抑制、発ガン物質を抑制する働きがある。また、免疫力を高め、動脈硬化や心臓病の予防などの働きもある。ストレスや喫煙などで消費されやすく、欠乏すると壊血病を引き起こす。果物や緑黄色野菜、イモ類に多く含まれる。
[所要量]成人男女100㎎
◆ミネラル(=無機質)
ビタミンと同様、体内で合成できないが、微量で生体の機能維持と調節に不可欠な物質。体組織(骨、歯、血液など)の構成成分ともなる。多く含まれるのは乳製品、肉類、小魚類、藻類、野菜などである。鉄が不足すると鉄欠乏性貧血に、カルシウム摂取が少ないと骨粗しょう症の原因となる。一方でナトリウムは過剰摂取しやすく、高血圧症の原因となる。
■カルシウム
元素記号Ca。骨や歯を形成するミネラルである。体内にあるカルシウムの99%は骨や歯に含有され、残りの1%が血液、筋肉、脳などの組織に分布している。また、血液凝固や体液のイオンバランス、筋肉の収縮作用を増し、細胞の情報伝達にも関与。酵素作用の活性化などの働きがある。血液中のカルシウム濃度が低下すると骨のカルシウムが溶け出し、健康な人では常にほぼ一定に保たれているが、慢性的に不足すると骨密度が低下して骨粗しょう症が引き起こされる。他にも神経過敏になるなどがある。小魚、野菜、大豆製品、乳製品などに多く含まれている。
■リン
元素記号P。体内にあるリンの85%がカルシウムやマグネシウムと結合して、骨や歯を形成する。残りの15%がリン酸、核酸、酵素などの構成成分となる。ただし、過剰摂取するとカルシウムの吸収が妨げられる。加工食品の食品添加物などに多く含まれるため、現代では過剰摂取が問題視されている。
■カリウム
元素記号K。大部分が細胞内に存在し、生体の水分や浸透圧のバランスをナトリウムとともに調整するミネラルである。また、体内の過剰なナトリウムの排泄を促して血圧を調整する働きや、数種の酵素を活性化させ、間接的に神経や筋肉の働きを助ける役割を持つ。欠乏すると筋力の低下を引き起こす。野菜や芋などの植物性食品などを始め、さまざまな食品に豊富に含まれている。カルシウムと拮抗的に働く。
■ナトリウム
元素記号Na。大部分が細胞外液に存在し、生体の水分や浸透圧のバランスを、カリウムとともに調整するミネラルである。水分を保持する働きがあり、細胞外の液量や、循環する血液量を維持し、筋肉、神経の興奮性を弱める役割を持つ。不足すると食欲の低下などを起こし、過剰になると、高血圧や浮腫が生じる。
■マグネシウム
元素記号Mg。カルシウムやリンとともに、骨を形成するミネラル。体内の酵素の働きを助け、心臓や血管などの正常な機能を維持する働きもある。また、神経に働きかけ、興奮を鎮める役割を持つため、不足すると動悸や神経が興奮しやすくなる。
■ヨウ素
元素記号I。甲状腺ホルモンの成分となるミネラル。甲状腺ホルモンは成人の基礎代謝を促進し、子供の発育を促すとともに、皮膚や髪を健康に保つ作用があるホルモンである。ヨードは、不足しても過剰になっても甲状腺異常が引き起こされる。
■鉄
元素記号Fe。赤血球を作るために必要なミネラルである。体内では約70%が赤血球中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに含まれ、各臓器や筋肉に酸素を運搬する重要な役割を担っている。欠乏症は成長期や妊娠可能期の女性に多く、貧血症状が生じる。ビタミンCは鉄の吸収に関与する。
■亜鉛
元素記号Zn。新陳代謝に必要な酵素を生成するための成分となるミネラルである。骨、肝臓、腎臓、筋肉など、新陳代謝の活発な組織中に多く存在し、タンパク質の合成に関わり、細胞や組織の新生、再生を促進する。また、味覚や嗅覚を正常に保つために必要な成分で、欠乏すると味覚障害や皮膚障害などが引き起こされる。
3.運動と健康
運動は身体に刺激を与え、発育、発達を促進させる。また、血管の弾性を高めて動脈硬化を防止し、呼吸循環機能を高めて血圧の上昇や心臓への負担を低減し、加齢による生理機能の低下を抑制する。さらにストレスの解消など、心理的な効果も望めるが、運動といっても種類がたくさんあり、それぞれ身体に及ぼす影響は異なる。また、運動の強度が高すぎると危険が伴い、低すぎてもあまり効果的ではない。運動を健康の維持増進に役立てるためには、運動の種類、強度、時間、頻度を日的や年令にあわせて設定して行って、初めて安全に効果が得られる。
外部環境に対して積極的に行動するための能力
・成長期の丈夫な身体づくり
・壮年期以降の体力の衰えの予防
・筋力、瞬発力をつける
・持久力をつける
・柔軟性を高める
外部環境に対して健康を維持する能力(恒常性維持作用)
・免疫力がつく
・体温調節の機能が高まる。
・内臓などの器官が丈夫になる。
・精神的な適応力が高まる。
身体機能の法則性 ・適度に使えば発達する
・使わなければ退化する
・使い過ぎると障害をおこす
適切な運動の効果 ・身体機能の維持
・身体機能を高める
・病気の予防
・正しい姿勢の保持
・作業能力の向上(大脳の活性)
◆有酸素運動(=エアロビクス)
軽いジョギングやウォーキングなど、軽度から中程度の運動のことで、強すぎず、無酸素運動に比べ、長く持続することが可能な運動。脂肪を燃えやすい遊離脂肪酸の形にしてエネルギーを得る。酸素の供給が十分なため、完全燃焼して乳酸を生じにくい。継続することで心肺機能の向上、持続的に運動できる筋肉を発達させる。
心臓病や脳卒中につながる動脈硬化症や糖尿病などの生活習慣病の予防などの効果が期待でき、メタボリックシンドロームの予防にも役立つ。
◆無酸素運動(=アネロビクス)
強い筋力を必要とする激しい運動、跳躍、挙上、蹴る、最大速度で走る、重量挙げ、全力疾走のように、瞬発的に筋肉に強い負荷をかけ、短時間で大きなエネルギーを発揮する運動のこと。筋肉量が増え、基礎代謝を上げる。筋肉増強などの効果があり、瞬発力を高める。
運動と疾病予防
・健康づくりにすすめられる運動=全身的、動的、有酸素運動
・個人差を考慮=体力・年齢・運動経験を考慮して、運動の強度・時間・頻度を設定する
・健康づくりのための運動所要量
→1回の運動持続時間…有酵素運動の反応するため10分以上
1日の合計時間…1日合計時間は20分以上
運動頻度…原則として毎日(5~6日)、(現実的には3~4日)
普通の人…1日100kcal(速歩、エアロビクス、水泳=30分)
座位作業者…1日200~300kcal(1日=1万歩に相当)
・健康づくりのための運動指針
→生活の中に運動を まずは歩くことから始める
1日30分を目標
息がはずむ程度のスピードで
普段の姿勢も大切
その他の用語
・心肺機能
全身に酸素を運ぶ能力のこと。肺の呼吸能力と心臓を中心とした血液の循環機能を合わせて心肺機能と呼ぶ。肺に出入りする空気の量を示す換気量や肺活量、心臓のポンプとしての働きを示す心拍数などが指標になる。
・筋肉に負荷をかける運動の効果
有酸素運動、無酸素運動にかかわらず以下のような効果がある。
運動によってかかる適度な負荷により、骨や筋肉を維持し、体力を向上させ、転倒や寝たきりを予防する。
・柔軟性を高める運動の効果
はずみをつけないゆっくりとしたストレッチは、身体の柔軟性を高め以下のような効果がある。
・関節の可動域を広げ、日常の動作を滑らかでスムーズにする。
その他の運動の効果
動作を指令する脳の機能に働きかけ、敏捷性を高める。身体のバランス感覚を向上させる。
運動を行う際の注意
・体調確認
・ウォームアップやクールダウン
・環境に対する注意 熱中症や汗で体内の水分が失われることで、血液中の水分が減少し、血液の粘性が高まり心臓への負担も増える。水分補給をこまめにする。
・過度な運動
運動のエネルギー
神経系や呼吸、循環などの働きが関わります。また運動にはバランスの取れた食事や適度な休養なども欠かせない。
運動は脳など神経系からの指令に基づいて骨格筋が収縮することで行われる。骨格筋の収縮により発揮される力を筋力という。そのエネルギー源になるのがA T Pである。A T Pは主に筋細胞内に貯蔵されているグリコーゲンやクレアチンリン酸などにより供給される。しかし、筋細胞内のグリコーゲンやクレアチリン酸の貯蔵量は限られているため、長時間運動を継続するためには不十分である。そこで、血液によって運ばれてくるブドウ糖や遊離脂肪酸、乳酸などを筋細胞内に取り込み、同じく血液とともに運ばれてくる酸素を利用して、ミトコンドリアの中でA T Pを持続的に生産しなければならない。
運動や日常生活で行われる動きを長時間持続する能力を持久力という。持久力は心臓の血液を送り出す能力や肺の酸素を取り込む能力などの呼吸循環器系の働きと、骨格筋繊維によって決まる。
4.疲労と休養
疲労と疲労回復
◆疲労のメカニズム
疲労とは、疾病以外の原因で例えば筋肉や神経などを使いすぎてそれらの作業能力が低下し、本来の働きができなくなる状態のことであり、疲労感を伴うものであるが、私たちの身体で脳の興奮が長く続くと、神経細胞を働かさるエネルギーが出せなくなり、活動が停止してしまう恐れがある。それを防ぐために大脳を休ませるという指令が出る。その指令に従い、筋肉活動は低下する。このとき私たちは「疲れた」ことを認識する。この「疲れた」という認識が疲労感である。
疲労には運動能力の低下のように少し休息を取ることで回復する程度のもの、労働やハードなトレーニング後のように長時間疲労が残るもの、十分な睡眠を取ることで回復する程度のもの、疲労が蓄積し、それが継続して簡単に回復しないものまで様々である。原因別に、ストレスによって生じる精神的疲労、体内に乳酸などの疲労物質が溜まって起こる身体的疲労、疾病による疲労などがある。
◆疲労と疲労感
通常、疲労には疲労感を伴うものであるが、別の場合もある。
例えば、やりがいのあるハードな仕事を行う場合、疲労感は達成感によって打ち消されがちであっても、疲労の方は仕事の量に比例して心身に蓄積される。そのため、疲労感のない疲労の蓄積が過労死を引きおこすことがある。疲労感や倦怠感は体の異常を知らせる重要な信号の一つであり、それによって体を休めたり回復に努めたりできる。
◆様々な疲労
・肉体的疲労
激しい運動した後などに起こる疲労を肉体的疲労という。肉体的な疲労の場合、筋収縮のエネルギー源であるグリコーゲンの欠乏やグリコーゲンの分解に必要な酸素の欠乏がみられる。
・精神的な疲労
様々なストレスにより交感神経が優位な状態、緊張が続くことによる疲労を精神的疲労という。休養の必要性を自覚しにくい人も多く、気づかないうちに疲労の蓄積が起こりやすくなる。
・局所的な疲労
パソコン業務のように眼や指先など、身体の一部を使った活動では、眼や手などが疲れる疲労が起こる。このような局所的な疲労であっても、疲労が続くと全身の疲労の蓄積にもつながる。
・疾病による疲労感
疲労感が続くときには、その原因に疾病が隠れている場合がある。疾病に伴う疲労感は休養していても回復できないばかりか、疾病を悪化させてしまうこともある。長く疲労感が続いた場合には医療機関に相談する。
◆休養
様々な疲労と休養
・肉体的疲労と休養
疲労を回復するためには、不足している休養を十分とることも大切である。健康作りのための休養には、受け身の「休」と攻めの「養」の二つの要素がある。朝寝坊したり、家でゴロゴロしたりして過ごすような心身の疲労を安静や睡眠などで解消し、活力を回復する静的な休養である消極的休養に加え、「養う」ということは心身と社会生活のための英気を養う活動的かつ独自性の高い休養のことで、積極的休養とも呼ばれる休養も必要である。たとえば釣りやハイキング、ショッピングに出かけたり、スポーツをしたりするようなことである。日常生活で肉体労働やスポーツ活動などをすることが多い人は、ゆっくり体を休める「休」が適しており、デスクワークの多い人、仕事では体をあまり動かさない人にとっては「養」が適している。しかし、肉体労働に従事する人でも、仕事では使う筋肉に偏りがあったり姿勢に無理があったりすることが多いので、日頃使わない筋肉や機能を使ってスポーツなどを行うことは、体のバランスを整えたり気分転換やストレス解消に効果的。自分にあった休養法をみつけ、取り組みやすいものから生活に取り入れて心身をリフレッシュする生活習慣にするのが理想的である。また、休養に加えてエネルギー代謝に必要なビタミンを摂取するなど、食生活による工夫も必要である。
・精神的な疲労と休養
精神的な疲労からの回復にはリラックスすることが効果的である。睡眠を十分取るなどの消極的休養に加え、軽い運動で汗をかく、友人とおしゃべりをする、好きな趣味に没頭するというような積極的休養を心がける。
・局所的な疲労と休養
局所的な疲労からの回復には、疲労している部位のストレッチやこまめな休憩、深呼吸などの気分転換が役立つ。
◆生活習慣と休養
食事、運動とともに私たちが肉体的、精神的な疲労を回復し、心身の健康の保持や増進、充実した生活を送るためには、栄養補給に加えて、睡眠や休息による肉体的休養や、リラックス、リフレッシュなどの精神的休養をとることが大切である。筋肉疲労の回復には、休息、ビタミンB1、Cの補給、マッサージ、入浴などが有効である。活動量の多い人はエネルギー源となる糖質の摂取の不足も疲労の元になる。
※睡眠は脳細胞を保護する安全弁
長時間眠らずにいると思考力、判断力などの精神活動が鈍くなり、やがて幻覚や幻想が現れる。私たちが睡眠をとらずに頑張れる時間は通常48時間程度といわれる。これは、壊れたら二度と再生しない神経細胞を保護する、安全弁の役割を睡眠が果たしているためと考えられる。睡眠は脳の活動水準の低下によって起こるが、これは、脳幹の中心部にある脳幹網様体によって調節されると考えられている。
睡眠
◆睡眠と睡眠周期
睡眠は、脳や身体を休息させ、覚醒時の活動と、呼吸や循環など生命維持を支える役割を持つ。疲労物質を代謝し、排泄を促し、また免疫機能を助ける働きもある。睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠が約90分の周期で繰り返され、この周期を睡眠周期という。
◆睡眠の質
睡眠の内容、程度を睡眠の質という。各人にとって必要な睡眠時間には個人差が大きく、睡眠は量よりもどれだけ熟睡できたかという質が重要である。睡眠の質が悪いとノンレム睡眠の時の眠りの深さが浅くなり、レム睡眠の時に目が覚めてしまうことがある。睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠へと移る、約90分周期の倍数時間で眠ると睡眠不足を感じにくく、目覚めやすいといわれる。また、トリプトファンという必須アミノ酸から体内合成されるセロトニンは、安眠を促すといわれている。生活リズム、日中の過ごし方、照明や精神状態など多くの要因が、睡眠の質に影響を与える。
◆睡眠とサーカディアンリズム(=概日リズム)
睡眠と覚醒のリズムは体温を調節する自律神経系、ホルモン分泌を行う内分泌系、免疫系、代謝などと同様、体内時計により約1日のリズムに調整されている。このリズムこのことをサーカディアンリズム(概日リズム)と呼ぶ。生体リズムの一つで、circaddianはラテン語の circa(約)と dies(日)に由来している。ヒトの体内リズム周期は約24〜25時間で、地球の自転の明暗周期により調整される。外界の光刺激がなければ25時間周期で、日常生活の中でそれらが同調する様々な刺激を受けることで体内リズムは外界の周期に同調し、時間のズレは修正される。光刺激が重要だと言われているが、食事や運動、または仕事や学校といった社会生活なども影響していると考えられている。
何らかの原因によりこのズレが修正されない状態が続くと、入眠や覚醒がスムーズにできなくなり、無理に外界の周期に合わせて覚醒しても、眠気や頭痛、倦怠感、食欲不振などの身体的不調や気分の落ち込みなどの精神的な不調が現れてくる。このような睡眠の問題を概日リズム睡眠障害という。
◆睡眠障害
・概日リズム睡眠障害
生体リズムが狂い、睡眠や覚醒のリズムに障害が生じること。夜更かしや昼夜逆転といった環境の明暗周期を無視した生活習慣や、脳老化などによって引き起こされる。現代人や高齢者に多い障害である。
例として、時差ボケ、交代勤務睡眠障害、内因性概日リズム睡眠障害
・不眠症
入眠障害、熟眠障害、早朝覚醒などの症状を示す状態のこと。
原因としては、ストレスや精神疾患、身体疾患、アルコールや薬物などが要因となり、睡眠に障害が起こる。現代のストレス社会において不眠に悩まされている人は多いといわれる。生活リズムを改善し、脳を興奮させるテレビは睡眠前には消し、積極的にアロマテラピー等を利用してリラックスすることで副交感神経が優位になりやすく、安眠が得られやすくなる。
不眠症には寝付きが悪く、布団に入っても長時間入眠できない入眠障害、夜中に何度も目が覚めてしまい、朝起きたときに満足感がない状態である熟眠障害、どんなに遅く就寝しても早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒の三種がある。
・過眠症
夜間十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気がみられる症状をいう。長時間にわたる睡眠不足の蓄積で起こる場合もあるが、睡眠時無呼吸症候群などが隠れている場合もあるので注意が必要である。
・睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が止まってしまう疾病である。呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため、目が覚めて再び呼吸を始めるが、眠りだすとまた呼吸が止まってしまう状態を繰り返す。
睡眠時に無呼吸状態が長く続くと、過眠症を引き起こしたり、また睡眠不足によるストレスで血糖値やコレステロール値が高くなるなどの状態を引き起こすこともあり、メタボリックシンドロームや生活習慣病の原因ともなる。
・睡眠時随伴症
睡眠中に生じる寝ぼけ、夜尿、歯ぎしり、悪夢、睡眠時遊行症など、心身において望ましくない状態の総称である。
5健康管理
◆肥満
体重が重いだけでなく、脂肪細胞が増加、または肥大して体脂肪の蓄積が増加した状態のこと。摂取エネルギーの余剰が脂肪となって蓄積される単純性肥満と、原因となる疾患がある症候性肥満がある。肥満の指標にはBMIがよく用いられる。合併症(糖尿病、高脂血症、高血圧、痛風)などの合併症を引き起こしやすい。
◆肥満のタイプ
◇内臓脂肪型肥満(=リンゴ型肥満、上体肥満)
内臓の回りに脂肪が蓄積するタイプの肥満。男性や閉経後の女性に多い。加齢、運動不足、エネルギーの過剰摂取、遺伝的要因によって起こりやすい。内臓の回りに脂肪がつくため、メタボリック症候群や生活習慣病を引き起こす危険性が高い。
◇皮下脂肪型肥満(=洋梨型肥満、下体肥満)
下腹部や腰回り、太ももなどの皮下に脂肪が蓄積するタイプの肥満。若い女性に多く、女性ホルモンの影響を受け、将来の妊娠や出産に備えて脂肪を蓄えているため健康上のリスクはあまりない。
◇メタボリック症候群(=メタボリックシンドローム)
内臓脂肪型肥満によって生活習慣病が引き起こされやすくなった状態のこと。2005年4月にいくつかの学会が合同で診断基準を公表している。診断基準は、腹囲(へそ周り)男性85cm 以上、女性90cm 以上に加え、以下の3つのうち2つ以上があてはまった場合に、メタボリックシンドローム(メタボリック症候群)となる。①血中脂質に関して、中性脂肪(トリグリセリド)値150mg/dℓ以上とHDLコレステロール値40mg/dℓ未満のいずれか、または両方、②血圧に関して、収縮期血圧が130mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上、③血糖(糖代謝)に関して、空腹時血糖値110mg/dℓ以上。メタボリックシンドロームは内臓脂肪が増えることで、血糖、血中脂質、血圧が上昇し起こる。メタボリックシンドロームをきっかけに心疾患、脳血管疾患、高血圧症、脂質異常症、がんなどの生活習慣病が起こりやすくなる。
◆嗜好品
嗜好品とは、栄養摂取を目的としない飲食物をいう。お茶やコーヒー、清涼飲料水、スナック菓子、アルコール、タバコなどが嗜好品に含まれる。嗜好品はおいしい、すっきりする、リラックスするなどの感覚を伴うことが多いので、気分転換に役に立つが、依存症などの恐れもある。
様々な嗜好品
◇お茶やコーヒー
緑茶、紅茶、ココア、コーラなどに多く含まれるカフェインの影響が挙げられる。カフェインは急速に消化管で吸収され、脳神経の交感神経を刺激して覚醒作用や興奮作用と疲労回復の効果がある。また、腎臓や冠動脈の血行をよくし、利尿作用や強心効果がある。しかし、カフェインは10g前後で成人の致死量に達する(一度に100杯以上のコーヒーを飲まない限りその量には達しない)。コーヒーを一気に5杯以上(カフェイン500mg相当)飲むと軽いめまいや不眠、嘔吐などの副作用がおこり、このような状況をカフェイン中毒という。また、カフェインには利尿作用の他にカルシウムの尿中排泄を促進する作用もあるので、成長期の子供や妊婦、授乳婦、老人などがコーヒーを飲み過ぎると骨の発育が悪くなったり、骨がもろくなったりすることがあるので注意が必要である。
・清涼飲料水
糖質の多い炭酸飲料、スポーツ飲料などの清涼飲料水は過剰摂取に注意する。
・スナック菓子
脂肪、塩分、糖分などが比較的多く含まれており、また満腹感を伴うため、きちんとした食事の妨げにもなる。過剰摂取に注意が必要である。
・アルコール
酒類の主成分でエチルアルコール(エタノール)ともいう。適量の飲酒習慣はHDLコレステロールを上昇させ、冠動脈疾患の予防に役立つとの報告がある。また、気分転換や血液循環促進などの効用があるが、過度の飲酒はアルコール依存症へ進行するだけでなくさまざまな疾病の原因となる。アルコールは肝臓で肝毒性の強いアセトアルデヒドに分解されるので、長期間大量の飲酒を続けると肝臓に負担がかかり、肝細胞障害がおこる。また、大量飲酒は脳の萎縮を招くので脳神経障害にもつながる。高濃度のアルコールは消化管の粘膜を刺激するので、消化管障害の原因にもなる。少量のアルコールでは予防できた心疾患も大量飲酒となると冠状動脈の硬化を促進することになり、狭心症や心筋梗塞の原因ともなる。
・タバコ
タバコにはニコチン、タールの他40種類以上の発がん物質(ニトロソアミン、ベンツピレンなど)が含まれている。ニコチンは喫煙の依存性や、毛細血管を収縮させる働きがある。発がん物質の問題だけではなく、タバコの煙に含まれる一酸化炭素が血管収縮を起こし、ヘモグロビンと結びつく力は酸素よりも遥かに強く、ヘモグロビンが酸素を全身へ運ぶのを阻害する。シアン化水素は気管の絨毛を脱落させ、痰や異物の喀出を困難にする。また、一本の喫煙でビタミンCが25mg消費されるといわれている。喫煙が癌の発症原因の一つであることは既に明らかなっているが、喉頭癌で非喫煙者の30倍、肺がんで4倍かかりやすいといわれている。ほかに、肺気腫、気管支喘息、気管支炎、咽頭癌、口腔癌、食道癌、胃・十二指腸潰瘍、クモ膜下出血、狭心症、心筋梗塞、高血圧性心臓病などにもかかりやすくなる。
また、喫煙で問題なのは主流煙よりも副流煙中に有害物質が多く含まれることである(ニコチン、タールは2~3倍、ベンツピレンが4倍、ニトロソアミンが50倍、アンモニアが40倍、一酸化炭素が5倍)。喫煙者の近く(1m以内)で副流煙、排出煙を吸わされる受動喫煙は喫煙者本人よりも有害であり、喫煙が他人に及ぼす迷惑は非常に重大ということになる。
生活習慣病と疾病
生活習慣病とは、食生活や運動、休養、嗜好品などの偏りが習慣的に繰り返されること起因する疾病の総称。以前は成人病と呼ばれていた。日本人の3大死因であるがん、心疾患、脳血管疾患、さらに脳血管疾患の危険因子ともなる動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などはいずれも生活習慣病である。
主な生活習慣病
・がん
細胞の遺伝子に傷がつき、がん化した異常な細胞が増殖する疾病である。メタボリックシンドロームや運動、喫煙、食生活などの生活習慣が関わる。
・心疾患
不整脈、先天性の心臓病、心筋や心膜の疾病、虚血性心疾患などの総称である。心疾患のうち、生活習慣に起因する虚血性心疾患は、心臓に血液を送り酸素や栄養素を届けるための血管である冠状動脈が動脈硬化のため細くなり、心筋に酸素や栄養を行き渡らなくなることで起こり、狭心症と心筋梗塞がある。
狭心症とは、冠状動脈壁の壊死や増殖によって内腔が狭くなって、心筋に十分な血液が供給されない一過性の心筋虚血のために心筋の収縮が部分的に滞ったものです。運動や歩行、昇段、重いものを持ち上げるときや精神的興奮時に発症する労作性狭心症と、主として睡眠中に発症する安静時狭心症に分類される。突然、前胸部圧迫感や胸痛がおこり、およそ10分以内に消失する。
心筋梗塞は冠状動脈の完全閉息により冠状動脈の血流が途絶え、心筋が壊死をおこしている状態である。突然、激しい胸痛がおこり、硝酸剤の舌下でも軽快せず、長時間続くもので、突然死の原因の一つでもある。
・脳血管疾患
脳の血管が閉塞する脳梗塞や、破れたりすることよって起こる頭蓋内出血(硬膜下出血、クモ膜下出血、脳出血)などの脳疾患の総称。多くの場合、症状は突然現れる。
◇脳梗塞
脳動脈の狭窄や閉塞によって脳血流が低下したり途絶えたりして、脳組織に壊死がおこったものである。
◇出血性脳疾患
脳動脈が破綻して脳実質内に出血がおこったものをいう。細い動脈が破れる「脳出血」と、脳の外側の血管の分岐部にできたコブが破れ、脳とク膜下の隙間に出血してしまうクモ膜下出血がある。
・動脈硬化症
動脈の血管が硬くなり、弾力性が失われた状態。大動脈などの太い動脈に粥腫(ジュクシュ)ができるものを粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)という。
アテローム硬化とは、比較的太い動脈の内膜に、中性脂肪やコレステロールなどがこびりついて粥状物質(プラーク)を形成することで、内膜が肥厚し、血管の内腔が狭められ、さらに石灰が沈着して硬くなった状態のこと。動脈硬化のリスクファクターとしては高血圧、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドロームや運動、喫煙、食生活などの生活習慣などがある。
⑥糖尿病
インスリンの不足や作用低下により、血糖値の上昇を抑える働きが低下し、高血糖が慢性的に続く疾病。1型と2型がある。1型糖尿病はインスリン依存型と言われ、自己免疫疾患などを原因とするもので、若年者で急激に発症することもある。
2型糖尿病は生活習慣と関わりが深い。
高血糖が続くことで血管が傷つくため、糖尿病では様々な合併症が起こる。合併症には細い血管が傷つく3大合併症(手足の痺れなどの症状がみられる「糖尿病性神経障害」、腎臓の働きが悪くなる「糖尿病性腎症」、目の中の血管が傷つき視力が低下する「糖尿病性網膜症」がある)と、太い血管が傷つく心筋梗塞や脳卒中がある。
・高血圧症
高血圧とは収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上になる疾病のこと。日本人の高血圧症の約90%は下人が徳的できない「本態性高血圧」で生活習慣との関わりが深いといわれている。高血圧症は虚血性心疾患や脳血管疾患の原因となる。
関連する疾病は、動脈硬化症、肥満、、メタボリックシンドローム、運動、喫煙、食生活などの生活習慣から影響がある。
・脂質異常症
コレステロールや中性脂肪などの脂質代謝に異常をきたした状態である。LDLコレステロールが140mg/dl 以上、HDLコレステロール値が40mg/dl 未満、中性脂肪が150mg/dl以上のいずれかで判断され、総コレステロール値は参考値とされる。
脂質異常症は動脈硬化症の原因となる。
関連する疾病には肥満、メタボリックシンドロームがあり、運動や食生活などの生活習慣の影響を受ける。
◆その他の不調
・便秘
規則正しく便通のあった人が、排便回数や1回の排便量の減少、硬便、排便困難、残便感を自覚した状態をいう。器質性便秘と機能性便秘に大別される。機能性便秘は食事における食物繊維不足や運動不足、ストレス、排便習慣などが関わっており、弛緩性便秘、けいれん性便秘、直腸性便秘がある。
器質性便秘
腸に癒着、炎症、腫瘍といった何らかの障害があるために起こる。
機能性便秘 腸の蠕動運動機能などその働きに問題があるために起こる。
・機能性便秘のおもな原因
食生活、不規則な食事、食物繊維や水分、脂質の摂取不足、低栄養、ビタミン不足など。
・全身衰弱、緊張、恐怖、悲しみなどの精神的ストレス、神経障害、浣腸や下剤の乱用が原因となる。
・体質 職業柄便意を我慢せざるを得ない職業の人、便意を抑制する習慣
■弛緩性便秘(=機能性便秘の一種)
アトニー性便秘とも呼ばれ、高齢者や慢性疾患の患者に多くみられる。腹筋力の低下によって排便時に腹圧がかけにくいことや、排泄を引き起こす普通の刺激では便意が起こらず、腸の運動も起こらなくなっている。弛緩性便秘は、排便習慣の無視や便秘薬、浣腸への長期依存によって起こることがある。
■痙攣性便秘(=機能性便秘の一種)
ストレスや自律神経の乱れ、特に副交感神経の過緊張により、直腸の痙攣により起こる便秘。このタイプの便秘は下痢と交互に起こることもある。
■直腸性便秘(=機能性便秘の一種)
便が直腸に送りこまれても収縮しにくく、便意が生じにくくなるために起こる便秘のこと。排便反射が鈍くなり、便秘となった状態。直腸内に便がたまり、排便が困難になると排便困難症と呼ばれる。度重なる便意の抑制や、下剤、浣腸等の誤用や乱用などにより、直腸の感受性が低下することが原因となる。
・肩こり
原因を問わず、僧帽筋を中心とした筋群にうっ血、浮腫により生じたこり、はり、強張り、重み、痛みの総称である。肩こりはなで肩、姿勢の偏り、パソコンによる目の疲れ、運動不足、精神的緊張などによっても生じる。他にも更年期障害、頸椎の疾病、高血圧症などでも起こる。
・貧血
血液中の赤血球や、赤血球に含まれるヘモグロビンの量が基準値より減少した状態で細胞の酸欠である。最も多いのが、鉄が不足しヘモグロビンが作られなくなる鉄欠乏性貧血であるが、その他に血液を作る骨髄の働きが低下する再生不良性貧血、赤血球が作られるときに必要なビタミンB12、葉酸が不足して赤血球が減少して起こる悪性貧血(巨赤芽球貧血)がある。鉄分の補給や、鉄の吸収を助けるタンパク質やビタミンの摂取など食生活の工夫でも予防できるが、身体のどこかで出血が見られるなど疾病と関わる場合もあるため注意が必要である。
・貧血の症状
細胞の酸素不足から、疲れやすい、めまい、動悸、息切れ、肩こり、頭が重い、耳鳴り、顔色が悪い、皮膚の乾燥、爪が割れる、抜け毛、口角炎など様々な症状が現れる。月経により血液を失うことが多い女性に多くみられる。
・むくみ
むくみとは毛細血管における濾過と再吸収のバランスが崩れて水分(血液)が滞ると起こる浮腫の状態をいう。心臓病、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能低下症などの疾病でも起こるため注意が必要であるが、一般的にみられるむくみは、冷えや長時間同じ姿勢を続けていることで起こる血行不良が原因である。特に筋肉量の少ない女性の場合、長時間立ち続けることでむくみが起こりやすくなる。
むくみがみられた場合には、運動や入浴、トリートメントが効果的である。
・心身症
心身相関と言われるように、心と体は深く関わっている。心身症は体の病気であるが、その発症要因や慢性化に精神的なストレスが関与している病気の総称である。
心身症が考えられる疾病には、自律神経失調症、過敏性腸症候群、過換気症候群、胃・十二指腸潰瘍、本態性高血圧症などあげられるがこれらの疾患すべてが心身症であるというわけではなく、生活習慣など他の要因も関与していることが多い。
女性の健康
①女性ホルモンの生理作用
女性ホルモンには卵胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)がある。エストロゲンは黄体形成ホルモン(LH)の放出を促進したり、子宮内膜を厚くさせたりして妊娠成立の準備に関係するだけでなく、第二次性徴にみられる乳房の膨らみ、体脂肪量の増加、髪のつや、肌のはりのような女らしい体つきを作る作用がある。また、骨吸収の抑制やLDLコレステロールの合成抑制など、骨や脂肪の代謝に関係しているので、全身に影響するはたらきをもっている。プロゲステロンのおもなはたらきは子宮内膜を厚くし維持させて妊娠の維持にかかわることであるが、月経前症候群(PMS)といわれる各種の不調(むくみ、頭痛、腹痛、いらいら、多食など)にもかかわっているといわれている。
◆女性の性周期
成熟女性の場合、女性ホルモンの働きにより、妊娠中を除いて卵巣と子宮内膜は密接に関連し、約4週間の周期で変化を繰り返している。これを性周期といい、卵巣周期と子宮内膜周期がある。
◇卵巣周期
子宮内膜周期に伴って繰り返される卵巣の変化。原始卵胞が卵胞刺激ホルモンの働きで成熟して成熟卵胞になるまでの卵胞期と、黄体形成ホルモンが分泌されて排卵が起こる排卵期、排卵後の卵胞から黄体が形成される黄体期を繰り返す。卵胞期は内膜周期の増殖期、黄体期は分泌期と連動し、次のような順番で繰り返される。
月 経:卵巣でのホルモン分泌は低下し、脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され始める。
基礎体温は低温期。
↓
①卵胞期:月経後、卵胞刺激ホルモンの働きで原子卵胞が発育して成熟卵胞になるまで。
子宮内膜周期の増殖期と連動。エストロゲンの分泌が盛んになる。
②排卵期:黄体形成ホルモンが分泌されて排卵が起こる
(卵巣から成熟した卵胞が飛び出す)。
③黄体期:排卵後の卵胞から黄体が形成される。子宮内膜周期の分泌期と連動。
エストロゲンに加えてプロゲステロンを分泌し、子宮内膜がさらに肥厚する。
ここに受精卵が着床(ちゃくしょう)すれば妊娠が成立し、黄体はエストロゲンを分泌し続ける。
基礎体温は高温期。
↓
月 経:妊娠が成立しないと黄体は退縮してホルモンが減少し、子宮内膜ははがれ落ちて月経とともに体外へ
排出される。
◇子宮内膜周期(=月経周期)
卵巣周期に伴って繰り返される子宮内膜の変化で、子宮内膜の剥離が起こる月経期、卵胞の発育と連動して子宮内膜の修復と肥厚が行われる増殖期、さらに排卵を経て、肥厚した子宮内膜から粘液が分泌される分泌期を繰り返す。次の順番で繰り返される。
月経期→増殖期(卵胞の発育と連動して子宮内膜の修復・肥厚)→排卵
→分泌期(肥厚した子宮内膜から粘液が分泌される)
◆女性ホルモン
卵巣や胎盤から分泌されるホルモンの総称。卵巣周期の卵胞期にはエストロゲン(卵胞ホルモン)、黄体期にはプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが卵巣から多く分泌される。これらの女性ホルモンの分泌には、下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが関与している。
◇エストロゲン(卵胞ホルモン)
卵巣内にあるグラーフ卵胞(成熟卵胞)から分泌されるホルモンで、排卵前に分泌量が増え、子宮内膜を厚くさせたりして妊娠成立の準備に関係するだけでなく、第二次性徴にみられる乳房の膨らみ、体脂肪量の増加、髪のつや、肌のはりのような女らしい体つきを作る作用がある。また、骨吸収の抑制やLDLコレステロールの合成抑制など、骨や脂肪の代謝に関係しており、全身に影響するはたらきをもっている。エストロゲンは卵巣以外、副腎、胎盤、脂肪組織からも分泌される。
◇プロゲステロン(黄体ホルモン)
排卵後、卵巣に残された卵胞が黄体になり、黄体ホルモンを分泌する。子宮内膜を肥厚させ、血管を拡張して分泌量を増加し、子宮内膜を柔らかくすることで受精卵の着床に適した状態を作る。また、プロゲステロンは排卵後に増加し、排卵の抑制、妊娠の維持に働く。排卵後の基礎体温が高温期になるのもこのプロゲステロンの働きによるものである。月経前症候群(PMS)といわれる各種の不調(むくみ、頭痛、腹痛、いらいら、多食など)にもかかわっているといわれている。
月経
子宮内膜が一定の周期で繰り返し剥がれ、血液とともに排出される現象のこと。排卵後、妊娠が成立しない場合には、黄体は次第に白体となり、プロゲステロンの分泌が急激に低下すると、子宮内膜の機能層が剥離、脱落して血液とともに排出される。妊娠した場合、卵胞は妊娠黄体となり、妊娠期間が終わるまで月経と排卵が停止する。
◆月経の仕組み
思春期を過ぎると、視床下部のはたらきかけに応じて下垂体前葉は卵胞刺激ホルモンを分泌しはじめる。基礎体温は低温期。
①成熟女性では月経期間中に卵胞刺激ホルモンの分泌が増加し、卵胞の発育がはじまる。卵胞刺激ホルモンは一次卵母細胞を含む胞状卵胞のいくつかを成熟させ、月経開始から6日目ごろにはそのなかの一個だけが急速に成長する。やがて排卵をおこす成熟卵胞(グラーフ卵胞)とする。グラーフ卵胞はエストロゲンを分泌して子宮内膜の増殖を促す。
②通常、エストロゲンやプロゲステロンの血中濃度が多くなると、卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が抑制される仕組み(負のフィードバック作用)があり、血中濃度を保つようにはたらいている。
③次の月経から10~18日前ごろにエストロゲンの分泌は最大になり、エストロゲンの血中濃度が急激に増加すると今までの負のフィードバックが正のフィードバックに切り替わり、視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が増加し、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)を大量に急激に分泌させる(卵胞刺激ホルモンも増える)。これにより排卵がおこる。
④排卵後、卵胞は黄体となる。黄体はプロゲステロンと少量のエストロゲンを分泌する。黄体は受精が行われなかった場合は12から16日で退化し、自体となって子宮粘膜と共に排出される。これが月経である。
◆月経に関連するトラブル・疾病
・月経前緊張症(=PMS、月経前症候群)
月経前3〜10日、卵巣周期の黄体期に繰り返し発現する身体的、精神的な諸症状で、月経が始まるとともに減退、消失するものをいう。症状としてイライラ、のぼせ、下腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頭重感、易怒(怒りやすくなる)、頭痛、乳房痛、落ち着かない、憂鬱などがある。原因ははっきりとしていないが、月経周期に伴う女性ホルモンのバランスの乱れや、精神的なストレスなどが関わるといわれている。
・月経痛
月経時、下腹部や腰を中心に生じる痛みを月経痛という。月経時には、子宮収縮によって内膜組織や血液を排出するために軽度の痛みが生じる。周期性の痛みで経血量が多い場合、子宮筋腫などがあると痙攣性の痛みに嘔吐などを伴うこともある。生活習慣の悪影響や、子宮の緊張、ホルモンの影響、精神的な要因などによって起こる機能性のものと、子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患が原因となる器質性のものがある。日常生活に支障が出るほどの特にひどい月経痛は月経困難症と呼ぶ。
・月経困難症
月経困難症とは、月経時に起こる病的症状をいう。下腹痛を主訴とする症候群で、初経後まもなく始まる機能性のものと、35歳ごろから始まる器質性のタイプがある。機能性月経困難症の原因は定かではないが、月経1〜2日目の出血が多い時に、周期性や痙攣性の強い痛みが生じるケースが多くみられる。器質性月経困難症は、月経前4〜5日から月経後まで続く持続性の鈍痛である場合が多く、子宮内膜省、子宮筋腫などの器質性の疾病を伴うものをいう。なお、月経困難症は通常無排卵性月経にはみられない。
③更年期の不定愁訴
不定愁訴とは不調の部位が特定できない訴えのこと。漠然とした身体の不調を自覚するものの、検査を行っても原因がはっきりしない場合が多い。自律神経系の関与が強く考えられる身体的愁訴で、症状が不安定になりやすい。客観的所見に乏しく、全身倦怠感、疲労感、微熱感、頭重感、頭痛、動悸、のぼせ、めまい、しびれなどが同時、または多発的に起こる。不定愁訴はホルモンバランスの乱れがみられる更年期や過度なストレスにさらされたときなどに生じやすい。
また、女性の成熟期から老年期へ移行する期間を更年期という。特に女性の月経周期が不規則になってから月経停止に至るまでの40〜55歳頃を指し、卵巣機能の低下によってエストロゲンが減少し、ホルモンバランスが安定するまでの間に様々な不定愁訴が現れやすくなる。不定愁訴とは、不調の部位がない様々な訴えのことで、不調はあるものの原因がはっきりとしないことがほとんどである。この不定愁訴は性線機能の変化が、視床下部を介して自律神経に影響を及ぼすことで生じる。さらに更年期は心理的、社会的にも不安定な時期であり、その発言には心理的、社会的ストレスも深く関与する。また、症状の現れ方や程度には個人差があり、あまり自覚症状のない人もいれば、血管運動症状として、のぼせ、発汗、冷え症、肩こりなど、精神神経症状として頭痛、めまい、不眠、神経質、不安、抑うつなどの症状を強く訴える人もいる。
◆閉経後の問題
★骨粗鬆症
骨を構成する成分である骨塩(リン酸カルシウム)とタンパク性基質の絶対量(骨量)が極端に減少した状態である。骨がもろく、骨折しやすくなり、痛みや変形などが生じる場合もある。エストロゲンには骨吸収(骨のカルシウムが血中に動員されること)を抑制するはたらきがある。エストロゲンの分泌が低下すると、骨吸収と骨形成のバランスが崩れて骨吸収が上回るため、骨量の減少が生じることも原因の1つと考えられている。カルシウムやビタミンD不足、運動不足、極端なダイエット、喫煙、日照不足、体質や遺伝、その他の疾病、薬剤の使用によって起こる場合があり、成長期や出産後も注意が必要である。
★脂質異常症
エストロゲンには血中のLDL(低比重リポタンパク)レベルを低下させるはたらきがあるので、閉経後はエストロゲンの低下と性ホルモン合成に使われるコレステロールの必要量が減少すること、摂取エネルギーの過剰になりやすいことなどから脂質異常症がおこりやすくなる。脂質異常症は動脈硬化やほかの生活習慣病の原因にもなりやすいので注意が必要である。
・皮膚や尿路などへの疾病
エストロゲンは皮膚や粘膜に潤いを与える働きにも関わる。エストロゲンの分泌低下で皮膚が乾燥すると、肌荒れが起こりやすくなる。また、粘膜の乾燥により免疫機能が低下し、風邪などの呼吸器疾患や膀胱炎など尿路の疾病も起こりやすくなる。
【参考文献】
アロマテラピー検定テキスト1級・2級(公社)日本アロマ環境協会
アロマテラピー用語辞典(公社)日本アロマ環境協会
アロマテラピーインストラクター公式テキスト(公社)日本アロマ環境協会
資格マニュアル(公社)日本アロマ環境協会