【アロマテラピー利用法】
1.アロマテラピーを安全に行うために
◆芳香浴法
芳香浴法とは
精油を空気中に拡散し、香りを楽しむことにより、心と身体のバランスを整える方法である。心地よいと感じる香りを嗅ぐことで緊張していた気持ちがほぐれたり、落ち込んだ気分が明るくなったりと、気分転換をはかることができる。心のバランスを整えることは、身体の健康にとても大切なことである。また、室内空気をきれいにする効果もある。
・身近にあるものを使って…ティッシュペーパーやハンカチ、素焼きの壺や石に1~2滴含ませて、枕元や机の上に、また携帯して香りを楽しむことができる。ボウルなどに熱湯をいれて精油を滴下したり、ルームスプレーを利用したりする方法もある。
・キャンドル式芳香拡散器…アロマポット、オイルウォーマーとも呼ばれている。水をはった上皿に精油を1~5滴入れて使用する。下からキャンドルの炎で温めるため、ティッシュペーパーやハンカチに含ませる方法よりも、香りが上がりやすくなる。
・電気式芳香拡散器…電球の熱、風の力、振動など、電気を使って香りを拡散させる方法。呼び方も、その形式により、アロマライト、アロマファン、ディフューザーなど。必ず取扱説明書にしたがって使用する。
★芳香浴法に関する注意点
・精油には色が付いているものがあるので、布や紙に含ませる場合は、シミになっても困らないものを使う。
・キャンドルを使用する場合は、特に次の8つの点に注意が必要。
①周りに燃えやすいものを置かない
②テレビやテーブルなど、熱に弱い樹脂加工のものの上に置かない、
③風のない安定した場所に置く
④使用中はそばを離れない
⑤空だきしないように注意する
⑥就寝時には火を消す
⑦器具に適したキャンドルを使う
⑧子供やペットの手の届かないところに置く
・精油の滴数は部屋の広さ、通気性、精油の香りの強さなどによって加減する。
・嗅覚は鈍りやすいので、定期的に換気をする。
・芳香浴法はアロマテラピー利用法の中で、3歳未満の乳幼児に対して行える唯一の方法である。
・利用する際は精油の滴数を少なめにするのがポイント。
◆沐浴法
沐浴法とは…
浴槽に湯気とともに上がる香りを楽しむ方法である。湯に精油を滴下して全身、もしくは一部をつける利用法。精油の穏やかな薬理的、心理的効果に入浴の効果が加わることで、リラクゼーション効果や温熱効果などの相乗効果が期待できる。
精油を滴下したら、よく混ぜてから入る。精油は水に溶けにくいため、天然塩や植物油に精油を混ぜて使うと、皮膚への刺激がやわらぐ。精油の香りによるリラックスなどの心理的効果やおだやかな薬理的効果に、入浴による温熱効果や静水圧、浮力などが加わることによって相乗効果が得られる。
★沐浴法に関する注意点
・精油の滴数は香りや刺激の強さなどによって加減する。特に柑橘系やスパイス系の精油には皮膚刺激が強いものがあるので、滴数は少なめに、1滴から試してみる。
・皮膚に刺激を感じたり、香りが強すぎると感じたりした場合は、すぐに真水で洗い流したり、換気をする。
・幼児や敏感肌の方などは、滴数を少なめにする。
・沐浴は体に負担になることもあるので、体調に合わせて時間や温度を調節する。
◇全身浴法
肩までお湯につかる方法。精油の滴数は1~5滴。発汗などの反射作用が期待できる。リラックスするためには、38~40℃前後のぬるめの湯が適している。また、元気を出したいときや目覚めたいときは少し熱めのお湯で短時間で切り上げる。肌が弱い場合は植物油等で精油を希釈して使用することをすすめている。
◇半身浴法
みぞおちまでお湯につかる方法 精油の滴数は1~3滴。循環器への負担軽減により全身浴に比べて体力の消耗が少ないため、ゆっくり長くつかることができる。全身が温まるが、上半身が冷えそうなときは、はじめに乾いたタオルをはおるとよい。肌が弱い場合は植物油等で精油を希釈して使用することをすすめている。
◆部分浴法
身体の一部だけをお湯につける方法。全身浴や半身浴のように着替える必要もなく、手軽に行うことができる。目的に応じて部位を選び、部分から全身への効果が期待できる。
気分転換にもおすすめ。肌が弱い場合は植物油等で精油を希釈して使用することをすすめている。
部分浴法には足浴法、手浴法などがある。
◇手浴法(精油の滴数は1~3滴)
両手首までお湯につける部分浴法のひとつ。
上半身の血行が促されるので、肩や首が疲れているときにもよい。
◇足浴法(精油の滴数は1~3滴)
両足首や場合によって膝下までお湯につける部分浴法のひとつ。
全身の血行が促され、身体全体が温まる。座りながらできるので、高齢の方や体力が衰えている方にも楽しめる方法である。
夏の冷房や冬の寒さで足が冷えているときに試してみてもよい。
◆吸入法(精油の滴数は1~3滴)
精油の成分を積極的に吸入する方法で、おもに呼吸器系のトラブル緩和を目的に行われる。
ハンカチやティッシュペーパーなどに精油をつける吸入法と、熱めのお湯を入れた洗面器やカップに精油を滴下し、湯気とともに上がってくる精油成分を吸入する蒸気吸入法がある。
洗面器の場合は蒸気が外に逃げやすいので、バスタオルを頭からすっぽりかぶるのも一つの方法である。毛穴が開き、汚れが出やすくなるため、スキンケアを目的としたフェイシャルスチームとしても利用できる。
★吸入法に関する注意点
①長時間吸入するのは避ける。
②精油成分が粘膜などに強い刺激を与えることがあるので、鼻やのどが心地よい状態で行い、蒸気吸入の際は目を閉じる。
③呼吸器系のトラブル緩和を目的としているが、せきが出ている時やぜんそくがある方は、蒸気吸入が発作のきっかけになることがあるので、避ける。
◆トリートメント法
アロマテラピーでは、精油を植物油で希釈したものをトリートメントオイルと呼び、これを使ってマッサージ(非医療行為として)を行う。この方法を「トリートメント」と呼ぶ。
・非医療行為とは
医療資格のない者が行うアロマテラピー行為のこと。医師法で定められた医師の業務範囲である診断や治療行為と、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師等に関する法律で定められた業務範囲に抵触してはならない。
・希釈濃度について
原液を薄める割合のこと。アロマテラピーでは、精油が希釈する基材の量に対して精油の濃度がどのくらかを%で表す。精油は濃縮された状態のため、希釈(薄める)して使うことが大切である。
(社)日本アロマ環境協会が目安としている希釈濃度は1%以下、つまり100倍以上薄めて使用することをすすめている。
専門家は必要に応じて、これより高い濃度で使用することもある。逆に顔などの敏感な部分や、個人の体質、精油の性質など、諸条件によっては1%より低い濃度で使用する。場合によっては精油を入れずに、植物油だけでトリートメントすることもある。
≪植物油30mlのトリートメントオイルを作成する場合≫
・植物油5ml+精油1滴(0.05ml)=1%濃度
・5mlに対し、精油1滴であるから30mlだと
30÷5=6滴 6滴
30mlの植物油に対し、精油を6滴入れる。
※精油は1種類、または数種類混ぜることもできる。
★トリートメントに関する注意点
①精油は必ず希釈して使用。
②爪は短く切りそろえ、時計やアクセサリー類ははずして、トリートメントの前後は肘から先を石けんで洗うこと。
③トリートメント中にかゆみ、赤み(紅斑)など違和感を感じたら、すぐに使用を中止して大量の流水で洗い流す。必要があれば皮膚科で診察を受けること。
④安全に使用するために、個人の体質や体調、精油や植物油の種類によってはパッチテストを行うのがよい。
⑤部屋の温度や明るさ、音などに気を配る。
⑥トリートメントの目的は健康維持とリラックスである。第三者に行う際も、それを伝えて同意を得る。
使用する精油や植物油について説明し、同意を得ることも大切。
※パッチテストの方法
使用予定の植物油、またはトリートメントオイル(ブレンドオイルとも言う)を準備し、これを前腕の内側に適量のばして24~48時間おき、かゆみなどの炎症が起きないか様子をみる。違和感を覚えたら、すぐに大量の流水で洗い流す。
◆湿布法
水や湯にタオルなどを浸して絞り、身体の一部分を覆って、冷やしたり、温めたりする方法。湿布法は手軽にできる応急処置として、広く実践されている。硬直した身体の弛緩や、リラクゼーション目的で行う。
◇温湿布
肩こりなどの慢性トラブルに使用
◇冷湿布
打ち身、捻挫などの急性トラブルに使用
≪湿布方法≫
洗面器にお湯(温湿布)または水(冷湿布)を入れ、目的に応じた精油を滴下して混ぜ、タオルなどの布に含ませたら、絞って目的の部位に当てる。精油の滴数は1~3滴。
★湿布法の注意点
①皮膚に炎症などのトラブルが出ていないか確認する。
②湿布法は皮膚に密着させるため、湿布時間や温度、皮膚の精油に対する反応に注意して行う。
2.手作り化粧品
◆自己責任原則
自らの判断で行った行動は、それに伴う損失を自ら負担するという原則をいう。例えば、アロマテラピーでは化粧品などを製造した本人が、製造した化粧品の影響に対する責任を負わなければならない。「自分が使用するために、化粧品を手作りする」ことは薬事法の規制を受けないものの、これは自己責任において行うべきことを、十分認識しておかなければならない。作製日をラベルに記載するなど自己管理できるように心がけることをすすめている。
≪作成した石けんやハンドクリームなどを友人にプレゼントしたい≫
この場合は、業にはあたらないと判断し、薬事法違反にはならないとするが、プレゼントする側は使い方や注意事項をよく説明し、される側に納得して受け取ってもらい、あくまでも「自己責任」のもとに使用してもらうことが重要である。但し、個人が製造したものであっても、製造物上(PL法上)の責任や他の民事上の責任を負わなければならないので、相手や状況をよく考えて行うよう十分注意を要する。
【参考文献・引用元】
アロマテラピー検定テキスト1級・2級(社)日本アロマ環境協会
アロマテラピー用語辞典(社)日本アロマ環境協会
資格マニュアル(社)日本アロマ環境協会